研究課題/領域番号 |
09253251
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 福岡歯科大学 |
研究代表者 |
関口 睦夫 福岡歯科大学, 歯学部, 教授 (00037342)
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研究分担者 |
下川 英俊 福岡歯科大学, 歯学部, 助手 (50122792)
伊東 理世子 福岡歯科大学, 歯学部, 助手 (10140865)
真田 正幸 福岡歯科大学, 歯学部, 講師 (40084264)
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研究期間 (年度) |
1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
1997年度: 3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
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キーワード | アルキル化剤 / 発がん / 突然変異 / ミスマッチ修復 / 遺伝子欠損マウス / 致死効果 / 遺伝子ターゲティング / DNA修復 |
研究概要 |
我々はアルキル化剤による発癌性において主要な役割を演じると考えられるO^6-メチルグアニンを認識して修復する酵素(O^6-メチルグアニン-DNAメチルトランスフェラーゼ)の遺伝子(MGMT)を欠くマウスを遺伝子ターゲティングの手法を用いて作出した。MGMT^<-/->マウスは正常マウスより若干小さいが正常に成長し、増殖した。このマウスにアルキル化剤(メチルニトロソウレア)を投与したところきわめて高い感受性を示し、MGMT^<+/+>のLD_<50>が240mg/kgであったのに対しMGMT^<-/->マウスのLD_<50>はその1/10以下の19.5mg/kgであった。致死量以下のメチルニトロソウレア(2.5mg/kg)の投与によってMGMT^<-/->マウスは正常マウスに比べ、より高い率で胸腺や肺に腫瘍が発生した。同様な傾向は環境発癌物質の一つの考えられるジメチルニトロサミンの投与によっても観察された。メチルトランスフェラーゼ欠損マウスではアルキル化剤の投与によって増殖の盛んな細胞が障害を受け、その結果血球系・免疫系の細胞を供給する骨髄の幹細胞や腸官上皮の細胞が著しく減少する。このようにMGMT^<-/->マウスはアルキル化剤の致死作用に対してきわめて高い感受性を示すが、これはアルキル化剤によって生じるO^6メチルグアニンが修復されずに残り、それがミスマッチ修復酵素によって認識されて、いわゆるabortive mismatch repairを引き起こすことによるのではないかと考えられた。この点を明確にするため、ミスマッチ修復機構の欠損したマウスMLH1^<-/->を作製し、これをMGMT^<-/->マウスと交配してMGMT^<-/->MLH1^<-/->二重欠損マウスを作製して検討した。その結果二重欠損マウスは野生型マウスとほぼ同じ程度のMNU抵抗性を示し、かつその臓器に多数の腫瘍を生じることが見出された。この結果はミスマッチ修復系を欠損させることによってアルキル化剤による致死性を回避してその発癌性を検討することを可能にする。このことは自然発癌の生起におけるミスマッチ修復機構の意義を考える上でも重要な結果と考えられる。
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