研究概要 |
1.目的 血管内皮細胞間にはタイト結合が存在し、イオンや蛋白のみならず炎症細胞や癌細胞のintra-およびextra-vasationに関与していると考えられている。したがって、タイト結合の機能(バリア機能)を調節するごとにより癌細胞の血管への出入りを制御できる可能性がある。我々が発見したタイト結合蛋白のひとつ、7H6蛋白(barmotin)の発現はバリア機能と相関するため、barmotinのcDNA発現クローニング、シークエンスを行い、barmotinの機能を明らかにすると共に、タイト結合の機能調節機構を明かにする。 2.方法と結果 タイト結合を構成する分子は、ZO-1,ZO-2,cingulin,barmotin,symplekinなどが報告されているが、タイト結合の発達した脳の毛細血管内皮細胞では、他の内皮細胞に比べてoccludinの発現が高く、occludinがタイト結合の機能や構造に重要な役割を果たしていると考えられている。そこで、ラット肺毛細血管内皮細胞(RLE)にラットoccludinを強制発現させるために、ラットoccludinをクローニングし、pEF-BOS vecterを用いてRLEに導入した。得られたtransfectantを用いてnorthern blot,western blot,免疫組織化学、免疫電顕、フリーズフラクチャー、細胞電気抵抗、分子透過性などを検討した。その結果、多量のoccludin蛋白が作られ細胞膜に局在したが、タイト結合のバリア機能(電気抵抗値、透過性)に変化は認められなかった。以上から、タイト結合機能発現には、occludinのほかに必須の因子の存在が示唆された。
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