研究概要 |
接着系凝固因子の1つである活性型高分子キニノーゲン(HKa)が血漿中に存在する最も強力な癌細胞接着抑制因子であることを申請者らは見出した(Asakura,S.et al.,J.Cell.Biol.116 : 465-476,1992).その作用機作として癌細胞接着に最も重要と考えられているβ_3-integrin receptor-ligand相互作用の抑制であることが判明した.またHKのreceptorの1つが,2年前にクローニングされたgC1q結合蛋白質(gC1q-R,分子量33KDa)であることが判明した.本年はgC1q-RとHKおよびインテグリンとの作用について検討し,長年不明であった.HKのanti-cell adhesionのメカニズムを解明したい. 昨年に引き続き,HK受容体の固定,クローニングを行う目的で、HK関連ペプチドカラムを用い,MG63 osteosarcoma cell,3T3 cellの膜分画より,結合蛋白質を溶出した.SDS-PAGEによる分析では,P33C1q-Rの他,140KDa,95KDa,60KDa,17KDaのバンドが得られた。現在、これらの蛋白質の一つ一つを同定中である。 さらに今回、我々ははじめて、HKとvitronectin(VN)とが結合することを、見い出した。HKの癌細胞接着抑制活性の一つのメカニズムとして、HKが基質としてのVNに結合し、RGD細胞接着結合ドメインをマスクすることが推定された。現在このデータをまとめ、投稿中である。
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