研究課題/領域番号 |
09254265
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | (財)癌研究会 |
研究代表者 |
加藤 光保 財団法人癌研究会, 癌研究所・生化学部, 研究員 (20194855)
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研究期間 (年度) |
1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1997年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | transforming growth factor-β / Smad蛋白 / 角化細胞 / 増殖抑制 / 重層扁平上皮癌 |
研究概要 |
Transforming growth factor-β(TGF-β)は種々の正常細胞の増殖を抑制するが、がん細胞は反応性を消失している場合が多い。本研究は、この増殖抑制シグナルに関与する分子の同定と扁平上皮癌細胞における反応性消失の機序を解明することを目的とし、本年度は以下の点を明らかにした。(1)角化細胞上に発現し増殖抑制に関与するTGF-βレセプターはTβRIとTβRIIである。(2)TGF-β刺激はSmad2とSmad3のリン酸化を誘導する。アクチビンAはTGF-βのファミリー分子だが角化細胞に対する増殖抑制活性は弱い。このアクチビンAでは、主にSamd3がリン酸化され、Smad2のリン酸化の程度は弱く、さらにSmad蛋白の核移行の程度も弱い。(3)大腸癌細胞で見つかったSmad2のミスセンス変異を相同な部位に導入したSmad3D407Eは、増殖抑制シグナルをブロックした。この変異Smad3はTβRIに結合するがリン酸化されずレセプターから解離できないために、共存する野性型のSmad2とSmad3のリン酸化も抑制した。(4)扁平上皮癌細胞株15株でレセプターの欠損株は1株のみであった。また、これらの細胞の多くはSmad2遺伝子にも異常がないことが報告された。しかし、レセプターにもSmad2にも異常が認められない扁平上皮癌細胞株において、TGF-β刺激によるSmad2の核移行が認められず、Smad2の核移行にはレセプターとその直接の基質であるSamd2のみならず、何らかの因子が必要であり、扁平上皮癌においては、この分子に異常をきたしている可能性が示唆された。(5)TGF-βはHaCaTのc-myc遺伝子の発現を抑制したが、この細胞にc-myc遺伝子を強制発現させるとTGF-βによる増殖抑制がかからなくなることから、c-myc発現の低下にいたるシグナル経路が角化細胞の増殖抑制に必須であることが示唆された。(6)角化細胞においてTGF-β刺激で1時間以内に発現が誘導される新規遺伝子を発見した。
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