研究課題/領域番号 |
09254269
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 理化学研究所 |
研究代表者 |
日下部 守昭 理化学研究所, 実験動物室, 副主任研究員 (60153277)
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研究分担者 |
平岩 典子 理化学研究所, 実験動物室, 先任技師 (30200380)
吉木 淳 理化学研究所, 実験動物室, 研究員 (40212310)
池 郁生 理化学研究所, 実験動物室, 先任研究員 (40183157)
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研究期間 (年度) |
1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
1997年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
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キーワード | テネイシン / 細胞外マトリックス / 転移 / 遺伝子欠損マウス / 抗-テネイシン抗体 / 腫瘍成長 / 細胞外シグナル伝達 |
研究概要 |
1.癌細胞を蛍光色素標識して、その肺における転移細胞数を算定する技術を確立して、実験的転移の抑制実験を行ったところ、肺への接着は、1日目では非常に多いが、3日目では、急激に減少し、その後、徐々に接着数が増加する傾向が観察できた。この接着は、抗-テネイシン抗体の投与によって濃度依存型に抑制された。また本抗体を用いてマウス乳癌細胞の増殖抑制実験を行った。その結果、腫瘍の成長が抑制された。これらの実験により、テネイシンのEGFドメイン中に癌細胞の増殖・転移に重要である部位があることを新たに見い出すことができた。(第56回日本癌学会:1997) 2.間充職由来のテネイシン誘導因子は、テネイシン欠損マウスではその発現がないが、テネイシンの存在下では、この因子を発現誘導することができることより、テネイシン欠損マウスに腫瘍を移植後、本因子を腫瘍周囲に注射投与したところ、腫瘍成長は、正常マウス郡と同様な成長値を示した。更に、欠損マウス腫瘍への因子非投与郡では、肺への転移を認めないが、因子投与郡では肺への転移を認める個体が30%ほど出現し、この間充職因子が腫瘍の成長のみならず癌細胞の転移能獲得にも関与している可能性が示唆された。(第56回日本癌学会:1997)。 3.肺転移性マウス乳癌細胞(GLMT1)は正常雌マウスに移植すると、欠損マウス移植郡よりその腫瘍成長が悪いことより、欠損マウスの卵巣を除去して、細胞を移植したところ腫瘍は良く成長した。この観察より、本細胞をテネイシン存在下で培養したところ、エストロゲンに反応性を持ち、増殖抑制をするテネイシンの小型アイソフォームを発現することより、雌での腫瘍の増殖抑制は、小型テネイシンアイソフォームによる細胞増殖抑制作用によることが判明した。 以上の成果から、テネイシンが、腫瘍成長・浸潤・転移おいて細胞外シグナル伝達因子として重要な役割を演じていると確信できた。
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