研究課題/領域番号 |
09255206
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
寺崎 哲也 東北大学, 薬学部, 教授 (60155463)
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研究分担者 |
細谷 健一 東北大学, 薬学部, 教務職員
武仲 尚治 東北大学, 薬学部, 助手 (70006344)
高橋 威夫 東北大学, 薬学部, 助教授 (70004653)
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研究期間 (年度) |
1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
1997年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
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キーワード | 血液脳関門 / 排出輸送系 / 有機アニオン / 制癌剤 / P-糖蛋白 / Brain Efflux Index法 / ノックアウトマウス / 解毒 |
研究概要 |
本研究は、血液脳関門の排出輸送系の多様性とその生理的意義を機能解析の面から明らかすることを目的とし、脳移行性に優れた抗癌剤の開発やP-糖蛋白阻害剤を用いた癌治療において生じる問題について解明の糸口を見つけることとした。アジドチミジン、ジデオキシイノシンをラットに投与後、血液、脳、脳脊髄液中薬物濃度の経時変化を解析したところ、両薬物で血液脳関門(BBB)排出速度は非常に大きくなった。さらに、Brain Efflux Index(BEI)法を用いて解析したところ、両薬物は未変化体として脳細胞間液から循環血液中へ排出され、排出速度は飽和性を示し、相互阻害効果が見られた。この排出速度はチミジンによって阻害されずプロベネシドによって顕著に阻害され、核酸輸送系ではなく有機アニオン輸送系によって排出されることが示唆された。また、キノロン系抗菌薬についても同様にBBBから排出されることが示唆された。誘導体間の見かけの脳への分布性の違いは脳から循環血液方向の排出速度過程が支配的であることが示唆された。キニジンの見かけのBBB流入速度は正常マウスに比べてP-糖蛋白modulatorのPSC833併用時に約10倍も増加した。Mdrlaの遺伝子ノックアウトマウスにキニジンを投与したところ、見かけのBBB透過速度は27.6倍も高くなり、キニジンはBBBに発現しているmdrlaによって排出されることが分かった。さらに、パラアミノ馬尿酸は0.0587min-1でBBBから排出され、ミカエリス定数は400μMとなった。以上の結果から、血液脳関門にはP-糖蛋白以外に有機アニオン排出輸送系が機能していることが示された。これらの排出輸送系は制癌剤の脳へのデリバリーやP-糖蛋白modulator併用時における中枢障害をコントロールする上で重要である。
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