研究課題/領域番号 |
09255252
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
渡辺 直樹 札幌医科大学, 医学部, 教授 (10158644)
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研究分担者 |
山内 尚文 札幌医科大学, 医学部, 助手 (40274930)
八木橋 厚仁 札幌医科大学, 医学部, 助手 (40260757)
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研究期間 (年度) |
1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1997年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 温熱療法 / Tumor necrosis factor / アンチセンス / アポトーシス / MnSOD / 熱ショック蛋白質 / ICE / p53 |
研究概要 |
これまで我々は、細胞内に存在するtumor necrosis factor(TNF)が、antioxidant enzymeであるMnSODやHSP72の誘導を介し、温熱、ある種の抗癌剤(doxorubicin;DOX)や外から加えられたTNF自身(外因性TNF)などの細胞ストレスによるアポトーシスの誘導に対し、抵抗性因子として働くことを報告してきた。したがって、腫瘍細胞におけるTNFの発現を遺伝子操作で抑制すれば、温熱・放射線感受性の増強、すなわち奏効率の向上が可能と考えられる。そこで本研究では、ヒト腫瘍細胞にアンチセンスTNF遺伝子を導入し、温熱・放射線に対する感受性の増強が可能か否か、およびその分子機構について検討を加えた。その結果、(1)温熱、DOXや外因性TNFに抵抗性のHeLa細胞にアンチセンスTNF遺伝子を導入し、細胞内TNFの発現を抑制すると、各種治療modalityによるアポトーシスは著明に増強した。(2)アンチセンスTNF遺伝子導入クローンK2、K3細胞のMnSOD活性および加温時におけるHSP72発現量は、親細胞に比べそれぞれ、約1/2、約1/3に低下した。また、K2、K3細胞におけるHSF(HSPの転写調節因子)のHSE(HSPのプロモーター領域の共通配列)への結合性は、親細胞に比べ約1/2に低下していた。(3)親細胞およびアンチセンスTNF遺伝子導入クローンK3細胞におけるmutant-type p53の発現は、温熱により上昇したがその程度に差はなく、p21/WAF-1の誘導も認められなかった。(4)しかし、温熱によるICEmRNA発現量の変化をRT-PCR法で調べてみると、K3細胞では親細胞に比べ、明らかに上昇していた。また、アンチセンスTNF遺伝子の導入によるアポトーシスの増強効果は、ICE阻害剤であるYVAD-CMKおよびCPP32/Yama阻害剤であるDEVD-CHOの添加により、ほぼ完全に抑制された。
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