研究課題/領域番号 |
09255263
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 国立がんセンター |
研究代表者 |
野口 耕司 国立がんセンター, 生物物理部, 研究員 (80291136)
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研究分担者 |
村松 知成 国立がんセンター, 生物物理部, 室長 (70212256)
北中 千史 国立がんセンター, 生物物理部, 室長 (70260320)
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研究期間 (年度) |
1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1997年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | Myc / アポトーシス / がん |
研究概要 |
アポトーシス誘導機構解明は、現在の癌化学療法では治療の難しい難治疾患系の癌にも有効な新しい作用機構を持つ抗癌剤の創製にとって非常に重要である。我々は独自に発見したs-mycを中心にMyc依存的アポトーシスの解明を進めてきた。 本研究により、Myc依存的アポトーシスにおいて、Bcl-2 familyやRas関連分子がアポトーシス誘導シグナルの上位で機能していること、並びにアポトーシスの実行過程にcaspaseの活性化が要求され、核の凝縮、分断化、並びに細胞形態変化に重要であることを明らかにした。さらにこのcaspaseの活性化シグナルがセリンプロテアーゼ阻害剤AEBSFで抑制され、この阻害剤のフッ素基が、この阻害効果に必須であることを明らかにした。このことからアポトーシス誘導シグナルにおいて、未知のセリンプロテアーゼ様分子の存在が示唆された。一方で、紫外線誘導によるMyc依存型アポトーシスでは、caspase阻害剤で抑制できない未知の細胞形態変化のメカニズムの存在が初めて明らかになり、少なくともMyc依存的アポトーシスでは新しい分子機構が機能していることが示された。 以上のようにMyc依存的アポトーシスの制御機構が多岐にわたる複雑な分子群によって支配されていることが明らかにされたが、中でもcaspaseの活性化制御機構の解明は、癌細胞に特異的にアポトーシスを誘導する治療薬開発にとって重要と考えられる。一方、癌細胞の悪性化の一つとしてcaspase活性化機構の変異によるアポトーシス耐性の獲得が考えられる。本研究での紫外線によるMyc依存的アポトーシスでは、caspaseによらない細胞形態変化の実行機構の存在が示唆されており、caspase非依存的な細胞形態変化の分子機構解明も全く新しい作用機作を持つ抗癌剤の創製に役立つものと思われ、将来の進展が期待される。
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