研究課題/領域番号 |
09256203
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中村 祐輔 東京大学, 医科学研究所, 教授 (70217909)
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研究期間 (年度) |
1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
20,000千円 (直接経費: 20,000千円)
1998年度: 10,000千円 (直接経費: 10,000千円)
1997年度: 10,000千円 (直接経費: 10,000千円)
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キーワード | 癌抑制遺伝子 / p53 / CSR遺伝子 / BAI1遺伝子 / GML遺伝子 / 薬剤耐性 / アポトーシス / p53遺伝子 |
研究概要 |
p53標的遺伝子であるGMLの機能解析について、複数の癌細胞株にDox-offシステムによって発現を調節できる系を用いてGML遺伝子を導入し、GML発現による癌細胞の変化を検討した。その結果、食道癌細胞株TE10と肺癌細胞株OSC2に導入した場合には、薬剤に対する感受性の増加が確認された。また、グリーブラストーマ細胞株T98Gにおいては、Dox(-)の条件下でGMLの発現を誘導すると細胞死の起こることが観察された。これまで、5種類の癌細胞株に導入した結果、2種類で抗癌剤に対する感受性の増加、1種類で細胞死の誘導が認められたが、2種類の癌細胞株には何の変化も引き起こさなかった。これは、癌細胞の性質の差に由来していると考えられ、「癌の個性」診断の重要性を改めて示唆するものである。CSR遺伝子もp53により誘導されるが、酸化ストレスがその発現誘導の主要な因子であることが明らかになった。CSRからは2種類の転写産物が作られるが、これらを細胞に導入することによって紫外線や過酸化水素に対する細胞の抵抗性が増すことが明らかとなった。また、この過程においてこのCSR産物が細胞内酸化中間産物(ROI)の増加を防いでいることが明らかとなり、CSRがROIをスカベンジする可能性が示唆された。血管新生抑制遺伝子であるBAI1については、アデノウイルスベクターを用いてBAI1をグリオブラストーマ細胞に導入し、マウスの系を用いてin vivoで観察を行った結果、BAI1を発現している癌細胞株では血管新生が著名に抑制されていることが確認された。また、肺癌細胞株で認められた第3染色体p21.3におけるホモ欠失領域を含む1200kbの全塩基配列を決定し、その領域から14の遺伝子を単離した結果、新たな候補癌抑制遺伝子を同定した。
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