研究課題/領域番号 |
09257201
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
谷口 和弥 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (40028204)
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研究分担者 |
島田 明 北海道大学, 大学院・理学研究科, 講師 (60001848)
今川 敏明 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (20142177)
嘉屋 俊二 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (90186023)
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研究期間 (年度) |
1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1997年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | H^+,K^-ATPase / チロシンキナーゼ / セリンキナーゼ / カルシウム |
研究概要 |
従来までの研究により、H,K-ATPaseのα鎖のTyr10とTyr7が順に、またSer27がH,K-ATPase標品(GI画分)に内在するチロシンおよびセリンキナーゼによってそれぞれリン酸化されることを見いだした。本研究ではα鎖をリン酸化する両キナーゼの性質をα鎖、およびα鎖のリン酸化部位をマルトース結合タンパク質(MBP)と融合させたリン酸化モデル基質(MBP-HK)を用いて検討し、さらに免疫反応から、その同定を試みた。 GI画分にCaを添加して内在性キナーゼによるリン酸化反応を行ったところ、Ca濃度に依存(K1/2=0.9μM)してα鎖のセリンリン酸化量が増加したが、チロシンリン酸化はCa濃度に依存しなかった。界面活性剤CHAPS存在下では、α鎖のセリンリン酸化量は減少し、Ca濃度依存性も消失したが、プロテインキナーゼC(PKC)活性化剤TPAを添加すると、Ca濃度に依存(K1/2=1.0μM)したリン酸化が観察された。CHAPS処理前後のα鎖、およびMBP-HKのセリンリン酸化は、PKC特異的阻害剤で阻害した。さらに、抗PKC抗体を用いたウェスタンブロッティングの結果より、GI画分中にPKCαとPKCβIIが存在することが示され、両PKCともMBP-HKをリン酸化することが明らかになった。 一方、チロシンホスファターゼ阻害剤であるバナジン酸存在下で観察されるα鎖のチロシンリン酸化は、pp60src阻害剤ゲニステインで阻害された。抗c-Src抗体を用いたウェスタンプロッティングの結果より、GI画分において分子量5万と6万のc-Src様プロテインキナーゼの存在を確認した。免疫沈降により得られた、免疫複合体を酵素源とするMBP-HKのチロシンリン酸化が観察された。CHAPSで可溶化したGI画分からこの2種のチロシンキナーゼをゲル濾過カラム(Superose12)で分離し、MBP-HKへのチロシンリン酸化能を検討したところ、分子量6万のキナーゼのみがα鎖N末端の配列をチロシンリン酸化することを見い出した。 本研究によって、GI画分に内在する膜型のPKCαとβIIがCaに依存して、また膜型のc-Src様チロシンキナーゼがそれぞれα鎖をリン酸化することが示唆された。
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