研究課題/領域番号 |
09257213
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
茂木 立志 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (90219965)
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研究期間 (年度) |
1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1997年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | 大腸菌 / 呼吸鎖 / 末端酸化酵素 / プロトン / チャネル / 分子プローブ / 時間分解測定 / 分光法 |
研究概要 |
遺伝子操作や大量調製が容易な大腸菌チトクロムbo型ユビキノール酸化酵素を呼吸鎖末端酸化酵素のモデル系として酸化還元共役プロトンポンプ機構の分子生理学的研究を進め、以下の研究成果を得た。1)プロトン輸送の素過程を解析するために、前年度に作成したシステイン残基フリー酵素を出発材料としてサブユニットI分子表面に新たにユニークなシステイン残基を導入した変異酵素を作成した。2)高親和性キノン結合部位(Q_H)に特異的な阻害剤(置換フェノール類)を新たに同定し、阻害剤で再構成した還元型酵素と分子状酸素との反応を吸収変化として時間分解計測し、Q_H部位前後の過程を個別に解析できることを示した。3)光励起性プローブとしてリボフラビンを利用した光還元反応におよぼすシアンの効果を解析し、bo型ユビキノール酸化酵素と蛋白ファミリーの異なるbd型ユビキノール酸化酵素ではプロトン輸送を担っていると考えられる酸性残基の解離または水素結合状態の動態が異なることを見い出した。4)発現ベクターとサブユニットIの解離性および芳香族残基の変異体を作成した。ヘリックス6のグルタミン酸286は近傍の複核中心での酸化還元レベルを感知してプロトン輸送に関与していることを示唆する結果を得た。チロシン288等は複核中心の構築や局所的な電子移動に関与している可能性が示された。5)サブユニットIVの機能欠損変異の復帰変異をサブユニットIの複核中心結合部位近傍にマップし、サブユニットIVはプロトン輸送と酸化還元の反応場として働くこの部位に特異的な分子シャペロンとして働いていることを示した。今後、分光学的手法に加えて光電圧変化としてプロトン・電子の輸送過程を追跡・解析することにより、酸化還元共役プロトンポンプ機構の全体像を解明できるものと期待される。
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