研究概要 |
本研究期間で、我々はバンド3蛋白質の構造解析の成果として、膜内ドメインのカテゴリー分類を提唱した(Hamasaki,N.et al.,Cell.Mol.Biol.42,1025-1039(1996);および J.Biochem.122,577-585(1997))。即ち、カテゴリー1は親水性膜外領域;カテゴリー2はPeptide/Lipid相互作用がない状態で膜内に埋もれている領域;カテゴリー3はPeptide/Lipid相互作用を有した状態の疎水性膜貫通領域;である。 このようなカテゴリー分類を実証するために我々は、 1)in situでの化学修飾実験、 2)合成ペプチドを利用したリポゾーム系での部分構造解析、 3)Translation/Transcription系でのトポロジー形成シグナルの解析 の解析方法が違った3方面から分析し、新概念の確立を目指した。 その結果、バンド3蛋白質分子内Tyr390〜Leu460部分は、上記のいずれの方法でもカテゴリー2に属する最も典型的なペプチド領域と考えられた。この他に、Pro563〜Phe584およびTrp723〜Lys743がカテゴリー2に属するペプチド領域であることが証明された。また、Met833からカルボキシ末端(Val911)までは非常に特殊な構造を膜内でとっている可能性が示唆された。一方、これまでのところ陰イオン透過活性発現に必須であると言われているアミノ酸残基は全てこれらの領域に含まれていることから、カテゴリー2に属するペプチド領域が膜蛋白質の機能発現に重要な役割を果たしていることが考えられた。
|