研究課題/領域番号 |
09257241
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
遠藤 仁 杏林大学, 医学部, 教授 (20101115)
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研究分担者 |
細山田 真 杏林大学, 医学部, 助手 (00291659)
関根 孝志 杏林大学, 医学部, 助手 (50255402)
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研究期間 (年度) |
1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
1997年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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キーワード | 近位尿細管直部 / 有機アニオン / ジカルボン酸 / トランスポーター / ジカルボン酸トランスポーター / 多選択性トランスポーター / 有機アニオントランスポーター / 交換輸送 |
研究概要 |
有機アニオントランスポーターが交換輸送体(ジカルボン酸/有機アニオン交換輸送体)であることに着目し、その対向基質であるジカルボン酸を輸送するNa^+依存性ジカルボン酸トランスポーター(rNaDC-1)をラット腎poly(A)^+RNAと共にXenopus卵母細胞に発現させることにより、p-aminohippurate(PAH)を輸送する有機アニオントランスポーター(OAT1)のクローニングに成功した。 OAT1は551アミノ酸よりなる12回膜貫通型の膜蛋白であった。ノーザンブロットでは、OAT1の発現は腎特異的であり、脳にわずかな発現を認めた。In situハイブリダイゼーションでは、OAT1は腎皮質、特にmedullary rayに強い発現を認め、OAT1のC-末端部に対して作製した特異抗体による免疫組織化学では、OAT1蛋白は近位尿細管の側底膜に限局していた。 単離されたOAT1を単独で卵母細胞に発現させてもPAHの取り込みは認められるが、rNaDC-1と共発現させジカルボン酸の一つであるグルタール酸を前負荷すると、その取り込み活性は約10倍程度に増加した。またOAT1を発現した卵母細胞に^<14>C-PAHをあらかじめ取り込ませた後、OAT1の輸送基質を紬胞外に添加すると、細胞内の^<14>C-PAHが細胞外に排出されることが確認された。以上の結果はOAT1が交換輸送体であり、厳格な整流性は存在しないこと、Na^+非依存的な高親和性の輸送(Km=14.3μM)機能を有することが判明した。 OAT1の基質特異性を^<14>C-PAH取り込みに対する阻害実験、および放射能標識された基質の取り込み実験で検討した。OAT1は構造の異なる様々な薬物(βラクタム系抗生物質、利尿薬、非ステロイド性抗炎症薬、尿酸排泄薬、ACE阻害薬、抗癌薬の一部等)やプロスタグランジン、cAMP、cGMP、尿酸等の内因性物質を認識していることが確かめられた。以上より、OAT1はこれまでその存在が想定されていた基質選択性の極めて広いmultispecific organic anion transporterである事が明らかとなった。
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