研究概要 |
HIV-1の代表的なcloneであるBRU-1のLTR(long terminal repeat)上にGATA認識motifがあることを見い出した。造血幹細胞の増殖,分化におけるGATA-2の役割とHIV感染造血前駆細胞における増殖,分化障害を鑑みて,GATA-2によるHIV-LTRを介したHIV転写調節の可能性とその生物学的意義を検討した。まず、Gel shift assayを用いてLTRの推定上の2つのGATA consensus部位に結合することを確認した。full-length LTRおよびGATA binding siteを破壊したmutant LTRをreporter遺伝子につないでCOS細胞中にGATA-2発現ベクターと共発現させ転写活性をみた。GATA-2依存的に転写活性の著明な上昇を認め,またこの推定上の2つの結合サイトが主要な部位であることが判明した。以上の結果より、造血細胞においてGATA-2がHIV-1 promoterのGATA認識部位に結合することにより転写活性を誘導している可能性が示唆され、これを報告した(AIDS,1998)。また、GATA-2がTatと協調的に転写誘導する事実も判明し、現在、preliminaryにではあるが、GATA-2とTatがin vitro,in vivoで結合することをつかんでいる。AIDS感染による造血細胞における汎血球減少症のメカニズム解明の可能性もあり、現在、結合部位の同定等の解析を行っている。
|