研究課題/領域番号 |
09258226
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 理化学研究所 |
研究代表者 |
間 陽子 理化学研究所, 安全評価研究室, 先任研究員 (50182994)
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研究分担者 |
蒲田 政和 理化学研究所, 安全評価研究室, 基礎科学特別研究員 (00291063)
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研究期間 (年度) |
1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1997年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | HIV-1 / vpr遺伝子 / アクセサリー遺伝子 / G2期 arrest / アポプトーシス / ロイシンジッパー様配列 / 細胞増殖抑制活性 / パラクライン |
研究概要 |
HIV-1vpr遺伝子産物はウイルス感染効率の上昇及び潜伏感染細胞でのプロウイルスの活性化を導くなど、AIDS発症のkey factorとして注目されている。本研究では、Vpr蛋白による細胞増殖抑制機構の解析した。 HIV-1感染性DNAクローンpNL432由来のvpr遺伝子の野性型と欠失および点変異体を高度発現ベクターに挿入後、種々の細胞株に導入し過剰発現させた。HeLAおよびCOS1等の霊長類細胞の細胞周期はG2期でarrestされ、増殖能の低下が認められた。G2 arrest能の発揮には、蛋白質全体の高次構造、特にロイシンジッパー様配列の74位及び81位のIIeの保存が重要であった。また、N末端のアルギニンに富む領域の欠失変異体は、G2arrest能を消失しているにも関わらず細胞増殖抑制効果が観察された。この導入細胞を各種細胞周期マーカーを用いて染色した結果、G1 arrestによるアポトーシスであった。以上から、vpr遺伝子産物によって、異なる2つの細胞増殖抑制機構が誘導されることが明らかとなった。 Vpr蛋白発現HeLa細胞の培養上清を、vpr非導入細胞に添加し細胞増殖に及ぼす効果を解析した。様々な細胞において〔^3H〕-thymidineの取り込み量がコントロールベクター導入細胞のそれより低かった。一方、Flow cytometryを用いて細胞周期を解析したところ、G2 arrestは認められなかった。HIV-1分離株間で保存されている、67位のLeu及び74位のIIeをAlaに置換した変異体(L67/I74A)をHeLa細胞に導入すると、野性型より強いG2 arrestを誘導したが、その培養上清は非導入細胞の増殖を抑制しなかった。以上のように、Vpr蛋白のG2 arrest能はL67/I74A変異により増強するにも係わらず、培養上清を介する細胞増殖抑制活性は消失することから、Vpr蛋白発現細胞の培養上清を介する細胞増殖抑制はG2 arrestとは異なる機序を通じて発揮される可能性が示唆された。
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