研究課題/領域番号 |
09259217
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
下濱 俊 京都大学, 医学研究科, 助手 (60235687)
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研究分担者 |
前田 武彦 京都大学, 薬学部, 助手 (50271010)
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研究期間 (年度) |
1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1997年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 長期増強現象 / 海馬 / パッチクランプ / グルタミン酸 / アセチルコリン / カルバコール / CA3 / 苔状線維 |
研究概要 |
海馬長期増強現象(LTP)は、学習・記憶のシナプスレベルにおける基礎過程と考えられており、その分子機構の研究は高次脳機能の解明および痴呆疾患の治療法の開発の上で重要である。先に、我々は海馬苔状線維-CA3野シナプスLPT発現時にグルタミン酸遊離が増大していることを明らかにした。また、このLTP発現調節作用がムスカリン性アセチルコリン受容体拮抗薬により抑制されることを見出している。本年度は、海馬苔状線維-CA3野シナプスについて、自発性興奮性シナプス後電流(sEPSC)をホールセルパッチクランプ法にてCA3野錐体細胞より記録した。Sucroseを添加し、高張にした潅流液の適用により、sEPSCの頻度が増大した。また、膜電位を過分極側へ固定することにより sEPSCの平均振幅の有意な増大が観察された。歯状回顆粒細胞層の電気刺激により誘発されるEPSC(eEPSC)の振幅は、テタヌス刺激により増大した(LTP)。これに伴いsEPSCの頻度も増大したが、平均振幅は変化しなかった。ムスカリン性アセチルコリン受容体作動薬であるカルバコールを潅流通用したところ、eEPSCのLTPは0.1μMで有意に抑制され、10μMで有意に増強された。また、カルバコールは両濃度ともsEPSCの平均振幅には影響しなかったが、テタヌス後の頻度の増大は、0.1μMで有意に抑制され、10μMで有意に増強された。以上の結果から、カルバコールは苔状線維からの伝達物質遊離を調整することにより、海馬苔状線維-CA3野LTPを調整することが示唆された。
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