研究課題/領域番号 |
09260204
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
工藤 典雄 筑波大学, 基礎医学系, 教授 (60014239)
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研究期間 (年度) |
1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1997年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | ラット胎児 / 脊髄 / in vitro標本 / 自発性発射活動 / グリシン / GABA / CI^-イオン |
研究概要 |
申請者は、これまでラット胎児の脊髄摘出標本を用いたin vitroの実験系にて胎生14.5日から17.5日にかけて腰髄前根に数秒間にわたる自発性発射活動が観察されることを見出し、その発現機構について電気理学的、薬理学的手法を用いて調べ、この時期に見られる脊髄運動ニューロン群の周期的な発射活動は、グリシン及びGABAA受容体を介した興奮性シナプス入力により引き起こされていることを明らかにした。 本研究では、この運動ニューロン群の周期的な自発性発射活動を誘発する機構を単一ニューロンレベルで解析するために胎生15.5-16.5日の脊髄摘出標本を用いてブラインド・パッチクランプ法により脊髄腹側ニューロンのホールセル記録を行った。その結果、記録した細胞の大部分に腰髄前根の自発発射活動に同期した膜電位変化が観察された。この膜電位変化はテトロドトキシン、及びストリキニ-ネの潅流投与により完全に阻害されたことから、主にグリシン受容体を介したシナプス伝達によっていることが示唆された。次にこの膜電位変化のイオンメカニズムを調べるためにパッチピペット内溶液のCI^-イオン濃度を変化させ、この自発発射活動と同期したシナプス電位やシナプス電流の大きさとの関係を調べた。その結果、胎生15.5日の標本においては5mMのCI^-イオンから成るピペット内溶液の場合にはシナプス電位による活動電位は25%の細胞でのみ観察されたが、50-60mMの高濃度のCI^-を用いた場合には全例で活動電位が出現した。また、CI^-の高濃度溶液でホールセル記録したニューロンでは低濃度溶液で記録したニューロンと比較して2倍以上の大きさの内向き電流が観察された。このことから、CI^-イオンがこの発射活動を引き起こす上で重要な役割を担っていることが示唆された。
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