研究課題/領域番号 |
09260226
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
福田 敦夫 名古屋市立大学, 医学部, 助教授 (50254272)
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研究分担者 |
西野 仁雄 名古屋市立大学, 医学部, 教授 (60073730)
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研究期間 (年度) |
1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1997年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | 細胞内Cl^- / 光学的測定法 / GABA / 細胞内Ca^<2+> / 大脳皮質 / 発達 / 神経回路 / トランスポーター |
研究概要 |
1.fura-2でラベルした日齢7-14のラット大脳皮質スライス錐体細胞からの[Ca^<2+>]_iの光学測定をおこない、furosemideでCl^-排出機構を抑制した状態ではGABAが[Ca^<2+>]_i上昇を起こす事を明らかにした。これは、静止時の[Cl^-]_iが上昇しE_<Cl>が脱分極側にシフトしたためにGABAによるCl^-流入がCl^-流出となり、それによる脱分極で電位依存性Ca^<2+>チャンネルから一過性のCa^<2+>流入が起き、さらにグルタミン酸放出が促進されてNMDAレセプターチャンネルが開き持続の長い[Ca^<2+>]_i上昇が起きたためと考えられた。このように、Cl^-輸送体機能の変化はGABAの作用を変化させることにより神経回路機能に大きな影響をもたらすことが明らかとなった。 2.神経回路の発達過程でのCl^-輸送体の種類・機能・局在による[Cl^-]_i変化とそれに伴うGABA作用の変化について知る目的で、Cl^-感受性蛍光指示薬のMEQを用いた光学的測定法により、大脳皮質スライス各層の神経細胞から直接的にしかも同時に[Cl^-]_i変化を測定できる方法の開発を行った。スライス中の細胞に還元型のdiH-MEQを負荷すると細胞内でMEQに酸化されるのでその蛍光強度を計ることにより[Cl^-]_iを長時間測定する事ができた。Clトランスポーター/ポンプ阻害剤がMEQの励起波長と干渉し、直接作用を見ることが不可能であったので、細胞内外のCl^-濃度固定法を行い、まずMEQ蛍光と[Cl^-]_iのstandard curveを作成した。生後11日では[Cl^-]_i=20mM前後で高値であったが、層による部位差は存在しなかった。 3.GABAの投与によって起る大脳皮質各層での[Cl^-]_i変化の発達過程では、Cl^-の出入りが生後5日から25日の間で流出から流入に変化することを明らかにした。このことから生後発達の過程でE_<Cl>の過分極側へのシフトが起こっていることが示唆された。これに関与するCl^-輸送体の種類、輸送の向き、それらの機能の発達過程や皮質各層での差異について現在解析を進めている。 4.大脳皮質VI層と白質の境界部付近の入力路を双極タングステン電極で電気刺激した。単発刺激では測定感度の問題でMEQの蛍光変化は捉えられなかったが、高頻度刺激を行った際の[Cl^-]_iの変化を記録することができた。大脳皮質各層での差異と発達過程について今後検討する。
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