研究概要 |
本研究課題では、Photoactie Yellow Protein(PYP)およびバクテリオロドプシンの励起状態ダイナミクスを分子動力学シミュレーションで研究した。そして、フォトサイクルの初期過程における蛋白質の役割について調べた。 PYPの発色団の励起状態をINDO/SハミルトニアンをつかったCI計算により求めた。PYPは水溶性蛋白質であるため、分子を3層の水分子に浸してシミュレーションを実行した。起後60fsでの蛋白質のダイナミクスを追跡した。その結果、大きな変位を持つアミノ酸を同定できた。これらのアミノ酸は3つの異なるバクテリア、E.halophila,C.salexigens,そしてR.Salexigensの間で非常によく保存されていることが分かった。この結果はこれらのアミノ酸の生物学的な重要性を示唆している。PYPはごく最近に立体構造が明らかになった蛋白質であり、今後の研究の展開が非常に期待できる。現在、発色団の励起状態のより精密な力場を考慮した、さらに長時間の励起状態ダイナミクスの計算が進行している。 バクテリオロドプシンの構造はヘンダーソンらによる2BRDを計算の出発構造に用いた。脂質2分子膜や水層の効果を考慮して、露出したアミノ酸に拘束条件を加えたシミュレーションを実行した。発色団レチナ-ルの励起に敏感に反応するアミノ酸をいくつか同定した。特にAsp85とAsp212は大きな反応を示した。木村ら、Rosenbushらの新たな構造解析の研究も発表されており、ますますこの分子の研究が期待できる。本研究では分子内水分子は配置しなかった。水分子を配置した計算が現在進行している。その結果、レチナ-ルの光異性化に対する蛋白質の重要な役割があらたにひとつ分かってきた(投稿準備中)。
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