研究課題/領域番号 |
09261214
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
杉山 康雄 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70154507)
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研究期間 (年度) |
1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1997年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | レチナ-ルタンパク質 / SDS変性 / クロモホア再生 / in vitroフォールディング / 分裂酵母 / in vivoフォールディング |
研究概要 |
bR類(天然状態で大量発現;安定)とhR類(天然状態で少量発現;不安定)をモデルとして、膜タンパク質のin vitroとin vivoでの構造形成機構を比較解析した。SDSで変性させたバクテリオオプシン(bO)類の7本のヘリックスは適切な脂質環境では“自発的に"フォールディングする。一方、SDSで変性したハロオプシン(hO)は全くクロモホアを再生しなかった。bR類と異なり、hR類は菌から単離すると不安定で自然に変性し、低濃度のSDSはこの変性過程を促進した。従って、hR類はbR類と比べ膜外ループ領域の熱的なゆらぎが大きく、hOのヘリックスは“自発的に"フォールディングできないと思われた。今後、bO類とhO類のin vitroでのクロモホア再生の相違がアミノ酸配列のどのような違いによるのかを決める必要がある。 in vitroで再生できないhOは異種細胞(分裂酵母)では膜に組み込まれ正常にフォールディングし、その発現量はbO類のそれとほぼ同じであった。また、細胞内発現場所はオルガネラ(ER、ゴルジ、液胞)膜であることが間接蛍光抗体法によって分かった。分裂酵母の膜画分から部分精製したレチナ-ルタンパク質は光化学反応を示したので、今後、オルガネラ膜のエネルギー変換に及ぼす光の影響を検討する予定である。 レチナ-ルタンパク質のin vitro再生とin vivoでの構造形成の相違は膜タンパク質のpost-translationalとco-translationalフォールディング過程の相違に対応すると思われる。レチナ-ルタンパク質で得られた知見は、今後、少量しか存在しなかったり不安定な膜タンパク質を大量に発現させる方法、それらを天然状態のまま大量に調製する方法、あるいは、変性状態から天然状態へ再生させる方法を開発していく指針を与えるであろう。
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