研究課題/領域番号 |
09261236
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京薬科大学 |
研究代表者 |
山岸 明彦 東京薬科大学, 生命科学部, 助教授 (50158086)
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研究期間 (年度) |
1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1997年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | 蛋白質安定性 / イソプロピルリンゴ酸 / 脱水素酵素 / 進化分子工学 / 蛋白質工学 / 変性中間体 / 自由エネルギー変化 / 2段階変性 |
研究概要 |
イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素は約350アミノ酸残基からなるサブユニットのホモダイマーであり、個々のサブユニットは立体構造上二つのドメインからなっている。常温菌酵素を出発材料として、ランダムな変異を導入し、耐熱性の上昇した酵素を選び出しそれを解析すると言う方法によって、常温菌と好熱菌の耐熱性の差を検討した。実験に用いているこの酵素はロイシン合成系に関与しているため、ロイシンを含まない倍地中での生育で酵素活性を比較することができる。常温菌酵素の遺伝子を導入した好熱菌は、常温菌酵素の耐熱性が低いために高温ではロイシンを含まない倍地中で生育できない。変異が入った結果高温で生育できるようになった好熱菌を複数株単離した。 常温菌である枯草菌のイソプロピルリンゴ酸脱水素酵素遺伝子の耐熱性上昇変異酵素の解析からドメインとドメインの境界におけるアミノ酸残基の疎水性の上昇が耐熱性の上昇に重要であることが示された。 好熱菌および大腸菌のイソプロピルリンゴ酸脱水素酵素は不可逆変性を行うために、これまで変性の熱力学定数を得ることが出来なかったが、種々の条件を検討した結果可逆的変性を行う条件を見出すことが出来た。この条件で尿素を用いて変性の過程を検討した結果以下のことが明らかとなった。変性は共に変性中間体を持つ2段階変性である。変性中間体は、2つのドメインのうちの片方だけが変成して2つのサブユニットは結合したままの状態にある。二つの酵素の耐熱性の差は天然状態と変性状態の差ではなく、天然状態と変性中間体の自由エネルギーの差によっている。さらに、二つの酵素の耐熱性の差は、最安定状態に置ける自由エネルギーの差ではなく自由エネルギーの温度依存性の差によっている。すなわち大腸菌の酵素では天然状態と変性中間体の自由エネルギーの温度依存性が大きいためにより低温で零となり、変性する。
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