研究課題/領域番号 |
09261240
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
李 相男 福岡大学, 理学部, 助手 (40248472)
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研究分担者 |
山下 昭二 九州大学, 農学部, 助手 (70089936)
杉原 剛介 福岡大学, 理学部, 教授 (50090915)
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研究期間 (年度) |
1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1997年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 構造生物学 / 人工蛋白質 / 蛋白質のフォールディング / 蛋白質のデノボ・デザイン / 両親媒性α-ヘリックス / 蛋白質-脂質相互作用 |
研究概要 |
人工的な蛋白質のde novo合成は、未知なる蛋白質の構造やその特性を知る手助けとなる。我々はアミノ酸69残基からなるミニ蛋白質(SGP)をデザイン、合成した。この蛋白質の特徴は、N端から11残基が脂溶性のα-helixを形成、また残りが3つのβ-turnと、3つの両親媒性α-helix部分からなる。このものは、溶液中で単量体で存在し、脂溶性α-helixを中心にして3つの両親媒性α-helixがそれを取り囲んで、球状のモルテングローブ状蛋白質の性質を示す。また、その脂溶性コアが脂質膜に容易に導入され、チャンネル特性を示して色々な生理活性をあらわす。興味あることには、このものは、細胞のアポトーシスを誘起し、ヌードマウスに対して、アドレアマイシンより強い抗癌性をしめした。 今回、このSGPの色々なanalogを合成して、その構造安定化を探る研究を展開した。(1)Ala oligomerからなる脂溶性α-helixを、より脂溶性の高いLeu oligomerに置換したもの(SGP-L)、(2)3つの両親媒性部のLysの一部をGluに置換し、荷電相互作用させたもの(SPG-E)、(3)β-turn部全てをGlyに置換して、ループ部の柔軟性を高めたもの(SGP-G)である。SGP-Lは、平衡沈降法などにより3量体を形成し、6MGu・HCl変性実験において二次構造は安定である。SGP-Eは、SGPより安定であり、しかも、二量体もしくは、三量体を形成していた。SGP-Gは、SGPよりやや安定性が増加したが、単量体ではなかった。これらのことは、脂溶性コア、水溶性部分及び折れ曲がり部分が蛋白の会合に微妙に影響している事を示す。次にペプチドと脂質相互作用を調べところ、これらペプチドの中心の脂溶性のα-helixは全て脂質膜に取り込まれていた。また、SGP-Lが赤血球を凝集させるレクチン的な効果があるが、抗癌作用はなかった。SGP-Eの脂質との相互作用は弱く、SGP-Gにおけるβ-turnのflexibilityは、脂質との相互作用にはあまり影響がなかった。このアミノ酸69残基からなるSGPとその関連analogsは、蛋白質内部におけるアミノ酸残基のspace fillingを観測することや、蛋白質の会合状態の構造間における疎水性領域と親水性領域の役割をを調べるうえで有益なモデルとなると考えられる。
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