研究概要 |
1.細胞融合に関連するDdFRP遺伝子群の多重構造の解析:現在までに、GP138A,GP138B,GP138C,GP138Eの4種の遺伝子全長とGP138Fの一部、および偽遺伝子GP138Dが単離された。DdERP遺伝子はD.disocideumの異なる染色体上3ヶ所にマップされているが、その一つを含むYACクローンに、上記の遺伝子がタンデムにつながって存在し、他のYACでも同様な構造となっているらしいことがわかった。 2.細胞融合能を欠く挿入突然変異体の単離:薬剤耐性遺伝子を持つベクターと共に制限酵素を導入することによって挿入効率を高めるRestriction enzyme mediated integration (REMI)と呼ばれる方法によって、不稔となった突然変異体MCF1を得ることができた。原因遺伝子macAは3つのエクソンから成る約6.3Kbの大きなORFを持ち、核酸・タンパク質データベース内に有意な相同性配列が見つからない。タンパク質の局在性予測プログラムでは64%の確立で細胞膜に局在していると予測されることから細胞融合に直接関与していると期待される。 3.配偶子で発現する遺伝子を大規模探索:性的に成熟した細胞性粘菌のcDNAライブラリーを作製し、そこで発現する遺伝子を大規模に解析している。これまでに約750のクローンについて網羅的な配列決定を行い、新規な遺伝子された新規の遺伝子の中から膜タンパク質と予想される遺伝子を選び出し、さらにノーザンハイブリダイゼーションを行って、生殖細胞特異的に発現している遺伝子を検索した。また、アンチセンスベクターを導入して表現型を調べる方法により、シャペロニンとして機能するTcp-1遺伝子のホモログなど、発生に重要ないくつかの遺伝子を単離できた。
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