研究概要 |
テッポウユリ花粉母細胞の減数第一分裂前期に特異的に発現するLIM遺伝子、特に、既知の遺伝子と有為な相同性を示さない新規な遺伝子(LIM4,LIM13/5,LIM14,LIM16,LIM17)について抗体を作成し、ユリ花粉形成過程における発現様式および細胞内所在の検討を行ってきた。その結果、LIM14について以下の知見が得られた。(1)抗LIM14抗体を用いたウエスタン法で発現様式を調べたところ、LIM14タンパク質は四分子および未成熟花粉において葯14kDaのタンパク質として検出された。一方、四分子以前の花粉母細胞および他の組織ではLIM14タンパクは検出限界以下であった。(2)間接蛍光抗体法により、LIM14タンパク質の所在様式を検討した結果、LIM14タンパク質は四分子および未成熟花粉内のデンプン粒と共局在することが明らかとなった。一方、LIM14タンパク質のデンプン粒への局在は、他の組織のデンプン粒には観察されなかったことから、LIM14タンパク質は減数分裂終了時から花粉の成熟過程におけるアミロプラスト形成に関与することが示唆された。 新規なLIM遺伝子群に対するシロイヌナズナ、タバコ、イネ相同遺伝子と考えられるDNA情報がデーターベース中に見いだされた。データーベース中の情報を基に、これらのLIM相同遺伝子のcDNAおよび遺伝子の取得を進めた。現在までに、膜タンパク質をコードしていると予想されるLIM8に対するアラビドプシス相同遺伝子およびそのcDNAの一次構造がほぼ決定された。構造の保存性/多様性を検討した結果、LIM8タンパク質は細胞壁と接着すると考えられるN末領域と膜貫通ドメインが保存されたタンパクであると予想された。現在、形質転換植物を用いた機能解析を進めている。
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