研究課題/領域番号 |
09265208
|
研究種目 |
重点領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
鎮西 康雄 三重大学, 医学部, 教授 (60024709)
|
研究分担者 |
油田 正夫 三重大学, 医学部, 助手 (90293779)
安藤 勝彦 三重大学, 医学部, 助教授 (90024710)
|
研究期間 (年度) |
1997
|
研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
|
配分額 *注記 |
3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
1997年度: 3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
|
キーワード | オオサシガメ / 唾液腺 / 抗凝固因子 / 血管平滑筋弛緩活性 / NO / cDNAクローニング / バキュロウイルス / Xase阻害 |
研究概要 |
(目的)吸血性昆虫のオオサシガメRhodnius prolixusの唾液腺由来の血液凝固阻害因子Prolixin-ScDNAクローニングを行って、バキュロウイルス発現系により大量に生産して、その活性を明らかにすることを今年度の目的とした。 (方法)オオサシガメ唾液腺のcDNAライブラリーを作製し、抗体によりProlixin-ScDNAをスクリーニングした。cDNAをバキュロウイルススベクターに組み込み昆虫細胞で発現させた。組み替え体の精製を行い、活性を調べた。 (成果)Prolixin-ScDNAをクローニングし、その塩基配列を明らかにした。Prolixin-ScDNAをBaculovirus発現ベクターAcNPVに組み込み,昆虫細胞Tn5に感染させて発現した。細胞の培養液から組み替え体recombinant(r)Prolixin-Sを大量に精製することに成功した。rProlixin-SはXase阻害活性を示した。rProlixin-Sは、hemineを結合して、ヘム蛋白質とし、これににNOガスを吹き込むことにより、NOを結合したrProlixin-Sを調整することができた。このものはウサギの血管平滑筋に作用させて弛緩させる活性のあることを確認した。NOは唾液腺内の条件(室温pH6.0)では強くProlixin-Sに結合し、動物の血管内の条件(37C,pH7.4)では解離放出することを吸収スペクトルの変化を調べることにより明らかにした。 (結論)発現したProlixin-Sを用いて、Prolixin-Sは抗凝固活性と血管弛緩活性を持つ特異な分子であることが分かった。オオサシガメは唾液腺からProlixin-Sを分泌し、動物血管に注入して、血液凝固を抑え、血管を拡張して血液を集めて吸いやすくしていることがわかった。また、Prolixin-Sを遺伝子工学的に大量に発現させ、NOを結合し保存することが可能であること、動物体内ではNOを直ちに放出して血管を弛緩することなどから、この分子は医薬品開発の素材となる優れた特性を備えていることが判明した。
|