研究概要 |
アクロシン欠損マウスの精巣上体精子を用いて卵透明帯への付着能や結合能を調べたところ、野性のものとの有意な差を見い出すことができなかった。また,精子のアクロソーム反応の挙動を詳細に検討したところ,アクロシン欠損マウスではアクロソームタンパク質の放出が顕著に遅れていることが明確となった。これらの結果から,アクロシン欠損マウスで明らかとなった卵透明帯への精子の侵入・通過の遅延はアクロソームタンパク質の放出の遅れが原因であると推論した。さらに,アクロシンの生体内機能は,アクロソーム反応時でのタンパク質内容物の放出の助長であると結論した。また,その放出されるタンパク質がアクロシンによって部分分解を受けて,活性化や不活性化を起こしている可能性も見出された。 アクロシン以外の新規セリン系プロテ-ゼの探索を行い,4種類のプロテアーゼ遺伝子を同定・単離することができた。そのうちのひとつは,膵臓トリプシンのホモログであった。現在,これら4種類のプロテアーゼが欠損するマウスを作製するために,ES細胞経由で遺伝子相同組換えを試みている。
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