研究課題/領域番号 |
09267229
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
小椋 光 熊本大学, 医学部, 助教授 (00158825)
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研究期間 (年度) |
1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1997年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | FtsH / AAAファミリー蛋白質 / ATPase / プロテアーゼ / 膜 / リン脂質 / リポ多糖 / 熱ショック応答 |
研究概要 |
AAAファミリーに属する大腸菌のFtsHは、細胞増殖に必須の膜プロテ-ゼであり、これまで、熱ショック転写因子σ^<32>を特異的に分解することなどを明らかにしてきた。最近、ΔFtsH変異の致死作用を抑制する変異sfhCを同定し、これによりFtsHの細胞増殖に必須の機能を解明する道が開けた。sfhC変異は遺伝的解析から、リン脂質の合成経路で働くfabZ遺伝子に起こった変異で、fabZ活性が上昇していることが判明した。リン脂質はリポ多糖とともに主要な膜構成成分であり、これらは共通の前駆物質から生合成される。ftsH変異はリポ多糖の合成経路で働くLpxC(EnvA)酵素の量が増加し、リポ多糖を過剰生産することが分かった。この増加は、LpxCの安定化によるものであることが判明し、実際に、LpxCがFtsHプロテアーゼの基質であることを明らかにした。すなわち、FtsHはLpxCを直接分解して、その量を調節し、膜構成成分の量的バランスを調節する因子として機能する。さらに、FtsHによるLpxCの分解は、リン脂質の合成中間産物により負の制御を受けることも証明した。FtsHは膜蛋白質複合体のクオリティーコントロールにも関わることが示されており、これらの知見を考え合わせると、FtsHは膜蛋白質、膜構成成分の両面から膜の動態を総合的に制御する因子であることが明らかとなってきた。AAAファミリー蛋白質に共通する分子機能を解明するため、このファミリー蛋白質に特徴的な配列、いわゆるSRH(second region of homology)に部位特異的変異を導入して、変異FtsHの活性を調べたところ、ATPase活性とプロテアーゼ活性が強く阻害された。したがって、SRHはFtsHのATPase活性に重要である。
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