研究課題/領域番号 |
09267230
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
前田 浩 熊本大学, 医学部, 教授 (90004613)
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研究分担者 |
赤池 孝章 熊本大学, 医学部, 助教授 (20231798)
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研究期間 (年度) |
1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1997年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | マトリックスメタロプロテアーゼ / 細菌性プロテアーゼ / 病原因子 / 一酸化窒素 / パーオキシナイトライト / 組織破壊 / 組織修復 |
研究概要 |
マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)は、感染、炎症、あるいは固型腫瘍の進展・発育において組織破壊とその修復に関与する重要なプロテアーゼ群である。一方近年、感染・炎症の場において一酸化窒素(NO)が過剰に産生され、NO_2やN_2O_3、さらにはONOO^-(パーオキシナイトライト)などの反応性の高い窒素酸化物に変化し、多彩な生物活性を発揮することが知られている。我々はこれまで、MMPの活性化メカニズムを解明するため、ヒト好中球より精製したMMP前駆体(proMMP-8,好中球プロコラゲナーゼ)を用いて、反応性窒素酸化物NO_2およびONOO^-によるMMPの活性化について検討してきた。あわせて、細菌感染病態における組織破壊機構におけるMMPの役割を解析するため、各種細菌性プロテアーゼによるMMPの活性化についても検討した。その結果、ヒトproMMP-8は、μMレベルのNO_2とONOO^-により効率よく活性化され、これはproMMP-8のpropeptide domain(autoinhibitory domain)の一個のL-cys残基がNO_2やONOO^-により酸化されることでMMPの活性化がもたらされるものと思われた(Arch.Biochem.Biophys.342:261,1997)。さらに、本年度の研究により、ONOO^-によるMMPの活性化が、グルタチオン(GSH)により巧妙に調節されていることがわかった。すなわち、GSHはONOO^-と反応することにより、GSHチイールラジカルとなり、MMPのautoinhibitory domainに付加体を形成し、MMPを強く活性化することが明らかとなった(投稿準備中)。この知見は、生体内におけるNOの過剰生成がMMPの活性化を介して組織のリモデリングに関与することを示唆している。一方、細菌性プロテアーゼのうち、特にサーモライシンファミリーに属する細菌性プロテアーゼである緑膿菌エラスターゼとコレラ菌プロテアーゼが強いMMPの活性化を示し、これらプロテアーゼは、これまで全く報告のない全くユニークな部位でMMPを限定分解し、活性化していることがわかった(J.Biol.Chem.272:6059-6066,1997)。
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