我々は、色と形からなる複合視覚刺激を使用した選択的注意課題をニホンザルに学習させ、反応時間を測定することにより、視覚次元間の干渉効果を調べた。この課題では、サルは固視点の色によって、形あるいは色に注目してgo/nogo反応を行う。go試行では、手がかり刺激(この場合はgo刺激)が呈示されれば、すぐにレバ-を離さなければならない。この時、手がかり刺激の呈示から、レバ-を離すまでの時間が、反応時間となる。形の次元に注目するときは、○がgo刺激、+がnogo刺激となり、色は反応の手がかりとならない。また、色の次元に注目する条件では、赤(■)がgo、緑(□)がnogo刺激となり、形は無視しなければならない。上記の4種類の刺激にたいする正答率は、すべて、ほぼ100%であったが、go試行における反応時間には、刺激間で有意な差が見られた。●刺激は、形条件でも色条件でも、ともにgo反応をを意味するが、○刺激は、形条件ではgo反応を、色条件ではnogo反応を指示する。逆に、+刺激は、形条件ではnogo反応を、色条件ではgo反応を行わなくてはならない。どの条件どの試行でも、正答率に差は見られないが、go試行での反応時間は、形条件では●刺激試行のほうが○刺激試行より、色条件でも●刺激試行のほうが+刺激試行より、ともに有意に短かった(t検定;p<0.01>。色をインクの色、形を文字、レバ-反応を言語反応に置き換えると、originalのStroopテストと同様の実験条件になり、本実験の色条件での反応時間の差は、Stroop効果、形条件での差は、逆Stroop効果に対応する。色、形以外にも、動きや位置といった視覚次元を加えた同様の実験で、すべての被験体(n=4)において“Stroop効果"が見られた。
|