研究課題/領域番号 |
09268218
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
三上 章允 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (40027503)
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研究期間 (年度) |
1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1997年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | サル / 大脳皮質 / 記憶 / 対連合課題 / ニューロン活動 / 視覚 / 前頭連合野 / 記憶の再生 |
研究概要 |
側頭連合野とともに、ヒトの前頭連合野、特に腹側部後方の破壊は、記憶の再生過程の障害を引き起こす。一方、対連合課題遂行中のサル側頭連合野腹側部のニューロンは遅延期間中に対となる相手側の図形に選択的な活動を示す。そこで、下部側頭連合野と同様、記憶の再生過程に関与している可能性が高いサルの前頭連合野の下膨隆部から、遅延付き対連合課題遂行中のにニューロン活動を記録し解析した。まず、行動レベルで遅延時間にサンプル刺激の情報を保持しているか、それとも対となる相手側の画像(ターゲット)の情報を保持しているかを調べたところ、遅延時間が延びるに従って、テスト刺激類似試行で誤反応が増し、反応時間も延長した。この結果は、サルが遅延時間にターゲット刺激を憶えているとことを示唆するものと考えた。つぎにニューロン活動を解析した結果、(1)学習課題のサンプル刺激呈示期、遅延期、テスト期に活動する多くのニューロンが、刺激対の違いによって活動の大きさを変えた。(2)遅延時間に刺激対の違いによって活動の変化するニューロンの刺激選択性はサンプル期よりもテスト期の活動の刺激選択性により類似していた。(3)テスト期の活動は、正解の画像と同時に呈示された妨害刺激が何であるか、正解となる画像が左右どちらに呈示されたかではなく、正解画像が何であるかにより依存していた。これらのデータは、前頭連合野が再生された情報を保持し、その情報にもとづいて行動選択する過程に関わっていることを示している。側頭連合野のニューロンと比較すると、側頭葉ではサンプル画像に反応する場合、同じ画像がテスト刺激として呈示されたときにも反応し、かつ記憶期間にも反応するが、前頭連合野では画像そのものの違いよりも、それぞれの画像が学習課題の中のどこで使われるかに依存して活動の大きさを変えた。前頭連合野が再生された記憶を保持し、行動選択に役立てる過程に関連してことが示唆された。
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