研究課題/領域番号 |
09269203
|
研究種目 |
重点領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
井上 弘一 埼玉大学, 理学部, 教授 (60114203)
|
研究分担者 |
石井 千津 埼玉大学, 理学部, 助教授 (00114215)
|
研究期間 (年度) |
1997
|
研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
|
配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1997年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
|
キーワード | 除去修復 / RAD1ホモログ / RAD2ホモログ / mus-38 / 紫外線損傷 / アカパンカビ / 遺伝子クローニング / RFLPマッピング |
研究概要 |
アカパンカビから酵母の修復遺伝子RAD1とRAD2のホモログ遺伝子をそれぞれ縮重PCR法によってクローニングし、そのシークエンスの決定を行った。アカパンカビのRAD1ホモログ遺伝子は、892アミノ酸からなる分子量、約100kDのタンパク質をコードしており、出芽酵母のRAD1がコードしているタンパク質との間で34%の高いホモロジーを示した。RFLPによるRAD1遺伝子のマッピングを 行ったところ、この遺伝子は第一連鎖群左腕のnit-2遺伝子の近傍に位置することが明らかになった。この位置にはすでにDNA修復遺伝子としてmus-38遺伝子があり、この突然変異株の変異原感受性をRAD1ホモログ遺伝子が相補したことから、Rad1ホモログは、mus-38遺伝子によってコードされていることが明らかになった。RIPによる遺伝子不活化により得られた突然変異株は、mus-38突然変異株と同様に、紫外線、4NQO、マイトマイシンCなどに高い感受性を示した。抗チミン二量体抗体を用いての、紫外線によるDNA上のダイマーの測定を行ったところ、mus-38株はほとんど野生株と変わらない効率でダイマーを除去しているかとがわかった。すでに、紫外線損傷の修復欠損株として知られているmus-18株との間で二重変異株mus-18,mus-38株を作成し、その紫外線に対する感受性を調べたところ、それぞれの親株よりはるかに高い感受性を示した。また、この株では、チミン二量体の除去がまるでできないことも明らかになった。 RAD1ホモログ遺伝子を単離したのと同様の方法でRAD2ホモログの遺伝子をアカパンカビからクローニングした。このクローン化したDNAを用いてRFLPマッピングを行ったところ、この遺伝子は第一連鎖群左腕のテロメア近傍に位置することがわかった。新しい遺伝子であったため、これをmus-40と命名した。RIPによりこの遺伝子の欠損株を作成し、変異原感受性を調べたところ、弱い紫外線感受性とかなりの4NQO感受性を示した。mus-18との二重変異株は著しい紫外線感受性を示すと同時に、チミン二量体の除去はまるでできなかった。mus-38,mus-40の二重変異株は、親株と同様の紫外線感受性を示した。 以上の結果から、アカパンカビにはmus-18とは異なる紫外線損傷の除去修復系が存在すること、その修復系にはmus-38とmus-40が含まれることが明らかになった。
|