研究課題/領域番号 |
09269204
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大坪 栄一 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 教授 (10158800)
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研究期間 (年度) |
1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1997年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | 突然変異 / 遺伝子再編 / 大腸菌 / トランスポゾン / 挿入因子 / トランスポゼ-ス / 転移 / 転移免疫 |
研究概要 |
生物の多様性、病態を引き起こす突然変異の多くは、挿入・欠失等のように遺伝子の再編によるものである。大腸菌ではこのような変異の多くがトランスポゾンによって誘起される。トランスポゾンTn3と挿入因子IS3はそれぞれがコードするトランスポゼ-スの働きにより転移するが、転移様式は異なる。本研究は、これらの転移の分子機構の解明を目的としたものである。 (1)Tn3トランスポゼ-スによるニッキング反応の解析:申請研究期間中に、我々が開発したin vitro系において、Tn3転移のtargetとなるプラスミドがその末端の38bpの逆向き繰り返し配列IRを運んでいる場合、そのプラスミドにTn3が新たに転移できないという「転移免疫」現象を再現し、この現象がtargetプラスミド上のIRにトランスポゼ-スが結合することにより不活性な転移複合体を作るためであることを示した。また、トランスポゼ-スと共にニッキング反応を促進する宿主タンパク質(NSF)を精製し、後者がACP(acyl carrier protein)であると同定した。ニッキングは転移の第一段階の反応であり、それが宿主タンパク質により促進されるという事実は、転移初期反応が単純ではないことを示唆する。 (2)IS3トランスポゼ-スによる転移中間体生成の解析:IS3のトランスポゼ-スを産生すると、IS3の分子内転移が起こると同時に、IS3の環状及び直鎖状分子が生ずる。申請研究期間中に、環状分子をクローニングしたプラスミドを持つ大腸菌内でトランスポゼ-スを発現すると直鎖状分子に変換されること、生じた直鎖状分子が実際に環状IS3の3'末端で切断されたものであることを明らかにした。この結果は、レトロウィルスにおいてその逆転写後に、環状及び直鎖状DNAが生じ、直鎖状DNAがインテグラーゼの作用により挿入組み換えを起こすことと非常に良く似ている。
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