研究課題/領域番号 |
09269212
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
立花 章 京都大学, 放射線生物研究センター, 助手 (20188262)
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研究分担者 |
佐々木 正夫 京都大学, 放射線生物研究センター, 教授 (20013857)
江島 洋介 京都大学, 放射線生物研究センター, 助教授 (50127057)
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研究期間 (年度) |
1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1997年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | DNA2本鎖切断修復 / アタキシア・テランジェクタシア |
研究概要 |
アタキシア・テランジェクタシア(AT)は常染色体劣性の遺伝病であり、患者は電離放射線に対して高感受性を示す。AT細胞で2本鎖切断修復に異常があるかどうか、またもしもあれば、その異常が修復後のDNAの構造にどのような影響を及ぼすかを検討した。本研究で用いる試験管内反応系は、制限酵素で切断することによって2本鎖切断を導入したプラスミドDNAを基質とし、これにヒト細胞核の抽出液を加えて修復反応を行わせ、反応生成物を解析するものである。正常人由来線維芽細胞珠N2KYSVの核抽出液を用いて、DNA2本鎖切断の再結合反応の時間経過を検討したところ、反応時間が16時間まで反応産物量は上昇し、その後24時間まで大きな変化は見られなかった。AT2KYSV細胞の核抽出液を用いて同様の検討を行うと、N2KYSVで見られたものと全く同様の時間経過で再結合反応が生じ、再結合反応の効率そのものは正常細胞と差がないことが明らかになった。一方、再結合反応の誤りの頻度について検討したところ、AT2KYSVの核抽出液ではN2KYSVに比べてはるかに高い再結合誤りの頻度を示し、AT2KYSV細胞ではDNA2本鎖切断の再結合反応の正確度が低いことが明らかになった。再結合誤りを含むプラスミドの塩基配列を解析したところ、いずれの核抽出液でも欠失が生じており、しかも殆ど全ての変異体で欠失配列の両端に数塩基の短い反復配列があり、いわゆる非相同組換えによるものであった。N2KYSVから得られた変異体では、欠失領域が比較的広範囲にわたっているのに対し、AT2KYSVでは短い欠失が多く、しかも約80%が同じ45塩基対の欠失であった。しかしN2KYSVでは、この変異は約13%にすぎず、N2KYSVとAT2KYSVとでは、変異頻度だけでなく、変異スペクトルも大きく異なることが明らかになった。これらの結果は、AT細胞ではDNA2本鎖切断の再結合過程に異常があることを示している。
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