研究課題/領域番号 |
09269221
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
早川 浩 九州大学, 医学部, 助手 (70150422)
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研究期間 (年度) |
1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1997年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | 突然変異 / ヌクレオチド / 異常蛋白 / 複製 / 転写 / 酸化ストレス |
研究概要 |
生体内で生じる酵素ラジカルにより酸化されたヌクレオチドプール中のdGTP(8-oxo-dGTP)はDNAポリメラーゼによってDNA中に取り込まれシトシン残基のみならずアデニンとも誤って対合するため突然変異を強力に引き起こす。本年度の研究においては哺乳動物生体内で生じるこれら酸化ヌクレオチドをヌクレオチドプールから排除する新たな酵素を哺乳動物細胞から発見し突然変異抑制機構を解明することを目的として3つの方法を用い研究を進め以下の述べるような成果を挙げることが出来た。 1)MTH1欠損マウスを材料として酸化ヌクレオチドを分解する酵素活性を検索したところ、複数の活性を検出した。 2)東北大学の山本らはMutTを相補する新たな非mutTホモログをクローニングし、そのコードする蛋白を精製することに成功したが、今回我々は共同研究によりその蛋白がMutT同様、8-oxo-dGTPase活性を有することを明らかにした(投稿準備中)。この発見はMutTホモログ以外の新たな酵素を検索する上で手がかりを与えることが出来るかもしれない。 3)突然変異を強力に引き起こす酸化ヌクレオチドの生起とその排除機構を明らかにする目的で酸化ヌクレオチドの代謝経路を哺乳動物細胞でほぼ完全に明らかにした(投稿準備中)。その研究の過程では酸化型リボヌクレオチドの1つである8-oxo-rGTPが大腸菌および哺乳動物のRNAポリメラーゼIIによってRNAに取り込まれることを明らかにした。しかも大腸菌ではこのようなmisincorporationが異常蛋白の生起をも引き起こすことが明らかになった。さらにMutT・MTH1蛋白はこの8-oxo-rGTPを分解する活性を持つことが明らかになり、MutT/MTH1蛋白は従来まで知られていたDNA複製の忠実度維持機能に加え、転写忠実度の維持にも働いている可能性が考えられる。このようなRNA合成忠実度維持機構はRNA生物の自然突然変異や非増殖状態にある細胞の一時的形質発現、あるいはadaptive mutagenesisなどと関連があるかもしれない(Science 278,128-130 1997)。
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