研究概要 |
マラリアの治療薬として有名な漢薬・常山の基原植物であるミカン科植物のコクサギOrixa japonicaとユキノシタ科のジョウザンアジサイDichroa febrifugaからin vitroの抗マラリア試験で活性を示す成分の単離を目的として実験を進めた。その結果、コクサギのキノリン系アルカロイドの中には熱帯熱マラリアPlasmodium falciparumに対する増殖抑制作用EC_<50>が10^<-5>Mオーダーのものも幾つかみられたが、顕著な作用を示すものはみられなかった。既にジョウザンアジサイの活性成分として知られるfebrifugine、isofebrifugineが確かに極めて強力な活性成分(EC_<50>:5.2×10^<-10>,7.1×10^<-10>M)として単離された。ジョウザンアジサイエキス、febrifugine、isofebrifigineはマウス乳癌FM3A細胞に対する毒性は低く、マラリア原虫に対して高い選択毒性を示す。ところで、febrifugine、isofebrifugineのマウスin vivoでのNO産生を検討したところ、1mg/kg/day (3day,p.o.)でかなりのNO産生上昇作用を示した。 以上に加えて、さまさまな薬用植物や化合物の抗マラリア作用を検討した結果、漢薬・甘松香Nardostachys chinensis成分であるnardoperoxide、isonardoperoxideに、それぞれ活性が認められた(EC_<50>:1.5×10^<-6>,6.0×10^<-7>M)。
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