研究概要 |
【目的】本研究代表者らが開発した合成法で容易且つ高収率で得られる5-アミノフロ(又はチエノ)-1,6-(又は1,7-)ナフチリジンは、抗マラリア薬であるプリマキンや2,4-ジアミノキナゾリンのbioisostereと考えることができることから、有効かつ副作用の無い抗マラリア薬を見出すことを目的として、上記反応で合成した化合物の種々の誘導体の抗マラリア活性を検討した。 【結果及び考察】EC_<50>が10^<-6>M以下の抗マラリア作用を示すか、又はFM3A細胞と比較して選択毒性が10倍以上のものを有効とした時、現在までに培養熱帯熱マラリア原虫による抗原虫活性試験を検討した59種の化合物の内、10種の化合物が有効と判定できた。最もEC_<50>値の低い化合物は2,3,6,7-テトラハイドロチエノ[2,3-h][1,3]チアゾロ[2,3-f][1,6]ナフチリジン-4-イウムクロライドで、その値は1.1x10^<-6>Mであった。このものは同時に最も選択毒性も高かった(32倍)。 5位及び8位に置換基を有するチエノ(又はフロ)ナフチリジン誘導体における構造活性相関では以下の傾向が認められた。-(1)8位のメチル基は活性発現に対してプラスに働いた。特にフロナフチリジンの場合、8位にメチル基を持たないものには全て活性が認められなかった。しかし、メチル基導入により活性が落ちたと思われる例も認められた。(2)5位に関しては、末端にメトキシ基、エトキシ基、又は、クロル基を有するアルキルアミノ基を持つものに多く活性が認められた。特にアルキル基の長さについては、メチレン数1-3のものの内メチレン数3のもののみに活性が認められている事は、興味深い。(3)三環性よりも四環性構造を持つもの(例えばチエノチアゾロナフチリジン構造を有するもの)の方が、活性発現には良い。-
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