研究概要 |
ヒトにおいてCD40やCD40Lの点突然変異により重度の免疫不全が発症することから、CD40シグナルを研究し、以下の成果を得た。 1) CD40シグナルによるCdk4 & 6及びp27^<Kip-1>の発現量変化の分子機構を明らかにした。即ち、抗原受容体シグナルによりCdk4 & 6は不安定になりp27^<Kip-1>は逆に安定化した。CD40シグナルは各々の安定性を細胞増殖時(無刺激時)に戻した。 2) 既にCD40細胞質領域の220-245と246-270の二つの領域が独立にNFκBを活性化すること及び246-270が抗原受容体シグナルによるアポトーシスの阻止に必須であることを見い出していた。今年度は各領域単独のシグナルではアポトーシスを部分的にしか解除できないこと及びTRAF6は220-245にTRAF5は246-270に結合することを明らかににした。さらにTRAF6と220-245との結合に、235番目のGluが必須であることを示した。 3) TRAF5は下流に存在するシグナル伝達因子を解明するため、TRAF5と相互作用する蛋白質を探索した。その結果プロテアソームの制御サブユニットを候補として得た。TRAF2に結合してRelを活性化するカイネースとして報告されたNIKと、逆に活性化を抑制するI-TRAFとの相互作用を調べたところTRAF5,6ともにNIK,I-TRAF各々と結合した。TRAF5,6からIKKに続く経路が存在すると考えられる。さらにヒトTRAF5のcDNAをクローニングし、その遺伝子座が1q32.3-q41.1であること、精製したヒトTRAF5とCD40,CD30,lymphotoxin-β受容体が直接結合しうることを示した。
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