研究概要 |
本研究は、局所三次元構造アライメントを基礎とする三次元モチーフ(厳密にはモチーフ候補部位)の自動認識手法の開発とそのゲノム情報解析への応用を目指すものであり、本年度研究ではタンパク質の三次元構造縮約表現をもとに、制約付き局所三次元構造アライメントを基礎とする三次元モチーフ候補部位の自動認識のためのアルゴリズムの開発を行った。特に、ここではhelixやstrandの二次構造セグメントを考慮した縮約表現されたタンバク質の三次元構造データをもとに、その距離行列で定義されるラベル付きグラフをもとに比較対象とする蛋白質間の最大共通う部分構造の自動認識プログラムとしてこれを実現した。作成したプログラムについては、Protein Data Bank(PDB)に収載されている三次元構造既知の二種のカルシュウム結合蛋白タンパク質を用いて本法の妥当性を検討した。Troponin C (PDBコード:1TOP)並びにParvalbumin(1PAL)を用いた試行実験の結果、探索時の距離の許容度(δ)をδ=3.0Aとした場合、カルシュウム結合部位であるEF-handモチーフを形成する1TOPのE131-S141及びF151-E159また1PALのD79-G89及びV99-I106の二つの直行するヘリックスセグメントをその最大共通部分構造として同定することができた。またδ=4.5Aでの探索の場合、二つのanti-parallel β-strandsとα-helices(1TOP:D36-S38,L42-M48,K55-V65,T72-D74.1PAL:F57-I58,F66-N69,D79-G89,I97-G98)からなる、より大きな共通部分構造を見出すことができた。
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