研究課題/領域番号 |
09272225
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 埼玉県立がんセンター |
研究代表者 |
後藤 修 埼玉県立がんセンター, 研究所・生化学部, 主任研究員 (40142111)
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研究期間 (年度) |
1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
1997年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
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キーワード | ゲノム情報 / 遺伝子構造 / 翻訳領域予測 / バイオインフォマティクス / アラインメント / エクソン説 / C.elegans / チトクロームP450 |
研究概要 |
ゲノム塩基配列と複数の相同なアミノ酸配列との間の比較に基づき、真核生物の遺伝子構造(エクソン-イントロンの配置)を正確に推定する方法を開発した。塩基配列及び仮想的に翻訳されたアミノ酸配列を同時に、効率よく符号化する特殊なコード(Tron code)を考案し、アルゴリズムの簡素化と効率化を図った。公開された線虫C.elegansゲノム配列中に約70のチトクロームP450遺伝子を同定し、それらの翻訳領域を新しく開発した方法を用いて予測した。予測の精度は翻訳配列同士のマルチプルアラインメント、およびイントロン挿入位置の保存性に基づいて検証した。この結果を公開されたデータベースに記載された予測翻訳領域と照合したところ、約10%の境界、約20%のエクソン、約半数の遺伝子について何らかの食い違いが見られた。ほとんどの場合、データベースの記載の側に誤りがあるものと考えられ、従来の予測法の限界を示している。何れの遺伝子も複数(4-10)のエクソンから成り、イントロン挿入位置は遺伝子間できわめて多様性に富んでいた。その際、挿入位置の一致する程度と翻訳領域のアミノ酸配列の類似度との間には明瞭な相関関係が認められた。この回帰直線の傾きから、イントロンの獲得・欠落はアミノ酸置換のおよそ1/90の速さ(1.4*10^<-11> events/year/codon)で起きたことが推定された。イントロンの獲得・欠落の進化速度のおそらく初めての推定値であると思われる。これらの結果は、真核生物核遺伝子に存在するイントロンが比較的新しく生じたことを示唆しており、イントロンの起源に関する論争に新たな光を投げかけるものとなった。
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