研究課題/領域番号 |
09273104
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 神戸大学 (1998) 名古屋大学 (1997) |
研究代表者 |
山村 博平 (1998) 神戸大学, 医学部, 教授 (90030882)
日高 弘義 (1997) 名古屋大学, 医学部, 教授 (80100171)
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研究分担者 |
松本 邦弘 名古屋大学, 大学院理学研究科, 教授 (70116375)
遠藤 實 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (50009990)
野澤 義則 岐阜大学, 医学部, 教授 (10021362)
中西 真 名古屋市立大学, 医学部, 助教授 (40217774)
山村 博平 神戸大学, 医学部, 教授 (90030882)
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研究期間 (年度) |
1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
117,000千円 (直接経費: 117,000千円)
1998年度: 45,800千円 (直接経費: 45,800千円)
1997年度: 71,200千円 (直接経費: 71,200千円)
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キーワード | チロシンキナーゼ / Syk / キナーゼhCdsl / ダントロレン / カスバーゼ3 / TRAF6 / TAK1 / TAB2 / 蛋白質リン酸化 / カルシウムシグナリング / 細胞情報伝達 / セリン・スレオニンキナーゼ / 機能探索分子 / 情報ネットワーク / キナーゼカスケード |
研究概要 |
プロテインキナーゼは細胞内情報伝達を行なう最重要な酵素群として働いており、本研究班はこれらのキナーゼの機能を修飾する物質、ターゲットとする新規分子プローブの発見をめざしている。以下に今年度の成果を示す。 B細胞の酸化的及び高浸透圧ストレスによる蛋白質チロシンキナーゼSyk(の活性化機構とその作用の違いについて、2つのSH2部分の変異株を作製して解析した結果、2つのSH2が両ストレスによって、それぞれ異なる作用をしていることを示した。B細胞のLyn、Syk、Btk、PLC-γ2欠損株をもちいてB細胞受容体を活性化したところ、ホスホリパーゼ1)活性にはLynは関与しないが、Syk、Btk、およびPLC-γ2およびPKCが関与することを明らかにした(山村)。G2チェックポイント機構に中心的な役割を演じていると予想される新規のキナーゼhCdslを同定した。このhCdsl遺伝子はG2/M期に特異的に発現しており、精巣あるいは小腸を含む広範囲な組織で発現していた。hCdslキナーゼタンパク質はDNA障害に反応してリン酸化を受けて活性化されることが明らかになった。現在hCdslを特異的に阻害する薬物の開発を行っている(中西)。PC12細胞を1%の低酸素ストレスにさらすと、アポトーシス細胞の出現に先行して、セラミドの増加とスフィンゴミエリンの減少が見られ、細胞内ではMg^<2+>依存型の中性SMaseの活性が上昇していた。また、カスパーゼ3(CPP32)の活性上昇が見られた。C2-セラミドもカスパーゼ3を活性化し、細胞のアポトーシスを誘導した。そしてセラミドの下流でカスパーゼ3が機能している可能性が示唆された。一方、Bcl-2を発現した細胞は、低酸素ストレスおよびC2-セラミドに強い抵抗性を示した。また、Bcl-2は中性SMaseおよびカスパーゼ3に対して抑制的に作用し、アポトーシスを抑制していることが示された(野沢)。ダシトロレンはE-C coupling(興奮収縮連関)における生理的Ca2+放出とCICRの両方を抑制するものの、CICRに対ずる作用はその抑制の程度が条件により大きく変化する。そこでダントロレンの適当な誘導体には、二つの開口様式をもっと明確に区別して認識するものがあると考え、種々のダントロレンの誘導体を作成したところ、興味ある特徴をもつ誘導体(GIF-0082、0090)を見出した。GIF-0082はダントロレンとは異なり生理的Ca2+放出のみに対して抑制効果をもち、CICR機構とのチャネル活性調節メカニズムあるいは開口モードの違いを特異的に認識している可能性を有する(遠藤)。IL-1シグナル伝達経路におけるTAK1の役割について解析を行った結果、TAK1はIL7-1刺激によってTRAF6と複合体を作る。活性型TAK1はAP-1とNF-kB両方を活性化できる。dominant negative型のTAK1はIL-1刺激によるAP-1とNF-κBの活性化を阻害する。TAK1がNIKのリン酸化を誘導し、NIKを介してIKKを活性化する。TAK1の結合蛋白質TAB2が、TAK1とTRAF6をつなぐ役割を果たしている。以上の結果、IL-1刺激によってTAK1はTAB2によってTRAF6複合体にリクルートされ、AP-1とNF-κB活性化につながる2つキナーゼカスケードを活性化すると考えられる(松本)。
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