研究概要 |
最近の20年間に無償な細胞内にCa感受性発光蛋白質エクオリンやCa感受性蛍光色素fura-2, indo-1, fluo-3などのCa指示薬を微少注入法または化学的方法で負荷し、指示薬からのシグナルを機能変化と同時に測定する方法が開発され、[Ca] iの生理学的および病態生理学的な意義および薬物の作用機序を分析することが可能となった。しかし個々の実験方法には固有の問題点があり、これらの中には実験手技の困難さ、指示薬自身の性質、シグナルの測定と解釈に伴う問題など多岐に渡る点が含まれる。本研究では機能している心筋細胞において心筋細胞機能調節における細胞内Caの意義を新しい心作用薬を用いて分析した。新しい設計分子としては新しい心不全治療薬levosimendan [(R)-[[4-(1, 4, 5, 6-tetra-hydro-4-methyl-6-oxo-3-pyridazinel)-phenyl] hydrazono] propanedinitrile]の他にUK-1745 (PDE阻害作用とβ遮断作用をもつ)、SCJ00013 (Caセンシタイザー,PDE阻害作用、Kチャネル抑制作用をもつ)などの新しい強心薬を用いた。対照薬としてβ刺激薬イソプロテレノールとCaセンシタイザーOrg30029またはEMD57033を用いた。これらの標準刺激とともに新しい設計分子を投与し比較検討することにより方法論的側面および設計分子側からの検討した。Levosimendanを用いた実験結果はCa感受性増強に関してaequorin法およびindo-1法で得られたデータはよく一致することを示しこれらの方法が新しい設計分子の心筋細胞に対する作用の分析に有用な実験方法であることを示唆する。またこれらの実験方法は細胞レベルにおける新しい強心薬の作用機序解明に有用な実験方法であること確認された。しかしinndo-1負荷単離心筋細胞標本は収縮性の測定には理想的な方法とは言えない。すなわちFlank-Starling curveのもっとも機能しにくい状態で(slack length)で収縮性の測定を行わなければ成らず今後の改善の余地が大きいことも確認された。
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