研究課題/領域番号 |
09273235
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小田 順一 京都大学, 化学研究所, 教授 (50027041)
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研究分担者 |
加藤 博章 京都大学, 化学研究所, 助手 (90204487)
平竹 潤 京都大学, 化学研究所, 助教授 (80199075)
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研究期間 (年度) |
1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1997年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | グルタチオン / γ-グルタミルシステイン合成酵素 / 遷移状態アナログ |
研究概要 |
γグルタミルシステイン合成酵素(γ-GCS)の遷移状態アナログとして、本酵素を強力かつ不可逆的に失活させるsulfoximine誘導体について、活性に必須であるキラルなイオウ原子を立体選択的に作り分け、それぞれの立体異性体の阻害活性を調べた。阻害活性はキラルなイオウ原子の立体配置に大きく依存し、(R)配置のイオウ原子を持つsulfoximineのみが、大腸菌由来のγ-GCSに対してATP依存性の不可逆的な非常に強い阻害活性を示したのに対し(Ki^★=0.039μM)S原子上の絶対配置が(R)であるもう一方のジアステレオマ-は、可逆的でしかも弱い阻害しか示さず(Ki=12μM)、S原子上のキラリティーが阻害活性と阻害の様式に決定的な影響を与えることが明らかになった。この傾向は、ラット腎臓由来の酵素あるいは、病原性原虫のTrypanosome由来のγ-GCSにおいても見られることが判明し、酵素γ-GCSの進化的関連性を示唆する興味深い知見を得た。また、遷移状態においてシステインの側鎖(CH_2SH)に相当する位置に種々のアルキル基を導入した一連の側鎖置換sulfoximine誘導体を合成しその阻害活性を調べたところ、大腸菌由来の酵素は側鎖の大きさを厳密に認識しており、側鎖の大きさがシステインの側鎖CH_2SHに最も近いエチル基の場合に特に高い阻害活性が認められ、エチル基よりも側鎖のサイズが小さくあるいは大きくなると阻害活性が顕著に低下することが判明した。このことは、グルタチオンにおけるシステインのメルカプトメチル基の重要性を反映している。今後は、これら一連のsulfoximine誘導体がin vivoでプルタチオンレベルを制御し得ることを確かめるとともに、ヒトを含む種々の生物種由来のγ-GCSに対する阻害活性を調べ、種選択的な阻害剤の開発を目指す予定である。
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