研究課題/領域番号 |
09273240
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
日高 洋 大阪大学, 医学部, 助教授 (30243231)
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研究期間 (年度) |
1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1997年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | プロテインキナーゼ / PMA / 自己免疫 / バセドウ病 / サイトカイン / ヘルパーT細胞 / Th1 / Th2 |
研究概要 |
ヘルパーT(Th)細胞は、サイトカインの産生様式および担う免疫反応により、2種類のサブセットに分けられる。Th1はIL-2、IFN-γなどによる細胞性免疫、Th2はIL-4、IL-5などによる液性免疫を担っている。自己免疫分野ではそれが主にどちらのサブセットにより引き起こされているかを調べ、さらにはそのサブセットを抑えることによる治療法の開発が進められている。本研究では、Protein-kinase C.activatorであるPMAとCalcium ionophoreであるIonomycinを用い、リンパ球を刺激しサイトカイン産生を促し、細胞内のサイトカインを蛍光物質で標識したサイトカインに対する抗体で検出し、Th細胞をTh1細胞とTh2細胞に分類する方法を用い、代表的な自己免疫疾患であるバセドウ病をモデルとして、Th1細胞、Th2細胞のバランス異常と自己免疫疾患との関係を明らかにする目的で行った。IFN-γ陽性細胞は、バセドウ病患者の甲状腺内リンパ球と末梢血リンパ球で有意な差は認められなかった。しかし、IL-4陽性細胞は、バセドウ病患者の甲状腺内リンパ球において末梢血リンパ球に比べて有意に増加していた。バセドウ病においては、甲状腺内で抗体産生を促すTh2細胞が、有意に増加していることが明らかになった。バセドウ病は、TSHレセプターに対する刺激型の抗体が産生されて、これが甲状腺を過剰に刺激して、甲状腺機能亢進症になる病気であり、今回の局所での免疫状態の結果は、臨床的特徴を裏づけるものとなった。したがって、Th2細胞からTh1細胞にシフトさせるような治療法が、バセドウ病において効果的であると考えられる。また、プロテインキナーゼを活性化することにより、細胞内にサイトカイン産生させ測定する方法が、他の自己免疫疾患・アレルギー疾患の病態解明、妊娠維持のメカニズムの解明などにも有用であると考えられ、今後更なる検討が必要である。
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