研究概要 |
インスリンの重要な生理作用の一つである抗脂肪分解作用の機序としてinsulin-sensitive phosphodiesterase(P-DE)の活性化によるcAMPの低下が考えられている。インスリンはこのPDEを燐酸化し活性化すると報告されている。そこでインスリンにより活性化されるPDEキナーゼのcell free測定系を開発し、その活性化機構を検討した。PI3-キナーゼの阻害剤であるワ-トマニン、LY294002はインスリンにより活性化されるPDEキナーゼ、MAPキナーゼ共に抑制したが、MAPキナーゼキナーゼ阻害剤であるPD98059はMAPキナーゼを抑制したがPDEキナーゼは抑制しなかった。p70S6キナーゼ系の阻害剤であるラパマイシンはp70S6キナーゼを抑制したがPDEキナーゼは抑制しなかった。以上よりPDEキナーゼ及びMAPキナーゼ、p70S6キナーゼ系は共にPI3-キナーゼの下流にあるがPDEキナーゼの活性化にMAPキナーゼ、p70S6キナーゼ系は関与しないと結論された。 「文献」 1)Onuma Y,Makino H et al.:Biochem.Biophys.Acta(in press) 2)Miki T,Taira M,Hockman S, et al.:Genomics 36:476-4851996 3)Makino H,Manganiello V.C.,Kono T:Annu.Rev.Physiol.56:273-295,1994.
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