研究概要 |
糖尿病治療には合併症の予防が重要である。この合併症発症機序の一つとして、非酵素的糖化が知られており、これによって最終的に後期反応生成物(AGE)が形成される。このAGEは糖尿病合併症の発症及び進展に重要な役割を果たしているものと推測され、このAGEの形成を阻止すれば合併症は妨げるものと考えられる。ペントシジンはこのAGEの一つであり、ペントシジンに対する抗体を利用してAGEの測定が試みられているが、ペントシジンは極めて入手困難なのが、実状である。本研究ではペントジンの大量供給を目指して、その効率よい合成法を確立することが第一の目的である。そして大量生産したペントシジンを用いて抗体を作製し、合併症の診断を容易にし、更に非酵素的糖化の阻害による合併症防御薬物の開発を志向している。すでにペントシジンの合成は報告されているが、その収率はわずか0.23%であり、複雑な精製過程を必要とする。我々もその追試を試みたが、ペントシジンを得ることはできなかった。そこで我々は確実に量産できる合成法の開発を試みている。ペントジン分子をA,B,Cのフラグメントに分割し、それぞれを合成したあと、順次結合することとし、現在A,B,Cの各フラグメントの合成に成功している。
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