研究課題/領域番号 |
09273248
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
渡辺 慶一 東海大学, 医学部, 教授 (00055865)
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研究分担者 |
山本 順寛 東京大学, 先端科学技術センター, 助教授 (60134475)
渋谷 誠 東海大学, 医学部, 助手 (50201546)
竹腰 進 東海大学, 医学部, 助手 (70216878)
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研究期間 (年度) |
1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1997年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | protein kinase c isoforms / lipid peroxidation / diacylglycerols / lipid mediators / oxidative stress / microtubule degeneration / PMA |
研究概要 |
脂質過酸化による細胞傷害の中にあって、ある特定の脂質の過酸化がある特定の重要な代謝、細胞反応を変換させる可能性を確認すべく、PKC(Cキナーゼ)の重要な調節因子であるジアシルグリセロール(DAG)の過酸化物(DAG-00H)を作製し、ラット脳PKC活性化への影響を観察した。その結果PKCの強力な活性化剤であるホルボールエステル(PMA)とほぼ同等な活性化作用が示された。PMAは所詮、人工産物であり生体内には存在しない。DAG-00HがPMAに対応するbiological counterpartとしての意義を持ち、機能するかどうかを確かめることにした。そのために先ず、(1)DAG-00HのPKCのsubspeciesに対する作用、(2)DAG-00H自身のsubspeciesによる活性化作用の違いを検討した。精製したPKCアイソフォーム(α、β、γ、δ、ε、ζ)に、DAG-00Hを作用させた結果、αおよびδ分子種が特異的に強く活性化されることが明らかとなった(特にδ分子種の活性化が顕著であった)。また、動物細胞に存在しうるDAG分子種4種(1-stearoyl-2-linoleoyl-glycerol、 1-stearoyl-2-arachidonoyl-glycerol、1-palmitoyl-2-linoleoyl-glycerol、1-palmitoyl-2-arachidonoyl-glycerol)の過酸化物(DAG-00H)、酸化物(DAG-0H)とnative DAGのPKC活性化作用を比較検討した結果、いずれのDAG分子種の場合でも、過酸化、酸化されることによりPKC活性化作用が増強することが判明した。更に、PKCδ分子種を強く活性化するというDAG-00Hの特異な生理作用をin vivoで確認すべく、PKCδを発現しているラット副腎髄質褐色細胞腫由来のPC12細胞とδを発現していないラット胎児大脳初代培養神経細胞の2種類の神経系の細胞にDAG-00Hを作用させたみた。その結果、PC12細胞(δ(+))はDAG-00Hにより傷害されるのに対し、初代培養神経細胞(δ(-))では傷害作用は全く起こらないことが判明した。このことからDAG-00Hが、全てのPKC分子種を平等に活性化するのではなく、特にδ分子種のみを標的として活性化しうる新しいタイプの機能探索分子となる可能性が強く示唆された。
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