研究課題/領域番号 |
09273255
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 国立循環器病センター |
研究代表者 |
重川 宗一 国立循環器病センター研究所, 循環分子生理部, 部長 (00113738)
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研究分担者 |
岩本 隆宏 国立循環器病センター研究所, 循環分子生理部, 室員 (20300973)
若林 繁夫 国立循環器病センター研究所, バイオサイエンス部, 室長 (70158583)
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研究期間 (年度) |
1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1997年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | Na / Ca交換体阻害薬 / Isothiourea誘導体 / ニッケルイオン / カルシウムシグナリング |
研究概要 |
本研究において我々は、多くの組織・細胞に存在するNa^+/Ca^<2+>交換体の細胞生理および病態における役割を検討するため、これまでに存在しないこの輸送系の特異的阻害薬を開発し、その作用機序を明らかにすると共に、これを用いてこの交換輸送体の機能及び作用機序を明らかにすることを目指している。最近我々は、isothiourea誘導体(KB-R7943)が心筋細胞Na^+/Ca^<2+>交換体(NCX1)による細胞へのCa^<2+>流入を選択的に阻害することを見い出した(J Biol Chem271,22391-22397,1996)。本年度の研究で、この薬剤が、神経組織などに発現するこの輸送体の他の分子種(NCX2およびNCX3)に如何なる作用を及ぼすか各分子種cDNAをCCL39細胞に発現させて検討したところ、この薬剤はNCX1およびNCX2に対しては同程度、NCX3に対しては約3倍強力に阻害することが明らかになった。また、この薬剤の特定の側鎖を変更すると分子種間の阻害活性の差異が消失することが観察された。また、この際、NCX1の古典的な阻害剤である金属イオン(Ni^<2+>、Co^<2+>など)などの影響を検討したところ、これらのイオンは、NCX3に対してはNCX1、NCX2よりも約10倍阻害活性が弱いことが判明した。現在、NCX1とNCX3のキメラを作成し、これらの薬理学的差異を利用して薬剤の作用部位・機序などを検討している。また、Na^+/Ca^<2+>交換体(NCX1)をCCL39細胞に過剰発現させて細胞膜作用系(Ca^<2+>依存性K^+チャネル、Na^+/Ca^<2+>交換体、インテグリン介する細胞接着反応)の機能変化を調べたところ、これらは著明に抑制されていた。そこで細胞をトロンビンで刺激しconfocal Ca^<2+> imagingを行ったところ、細胞質周辺部分の濃度上昇が抑制されているのが観察された。一方、この細胞の細胞内ストアCa^<2+>含量、ER膜と形質膜Ca^<2+>ポンプ含量及び細胞増殖はコントロールと差異を認めず、この細胞モデルでは、細胞膜近傍のCa^<2+>シグナリングが特異的に抑制されている可能性が示唆された。
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