研究概要 |
1.1〜60mMの塩化コリンを含む培地(2.5%ショ糖、0.2%ゲルライト)上で23℃、8〜17日間生育させたシロイヌナズナの主根の長さ、茎葉と根の乾燥重量を比較し、シロイヌナズナの生育に対する塩化コリンの影響を調べた。高濃度の塩化コリンを含む培地上では、8日間培養したCol株の場合、無添加培地に較べ、5mMで0〜4%、15mMで8〜25%、30mMで25〜44%の生育阻害効果がみられた。塩化コリン添加培地では、10〜15mMからサイズの減少した個体(ロゼッタ径6〜12mm)の割合が増え始め、30mM以上では極端に小型化(ロゼッタ長径8mm以下)した。 2.コリン感受性変異株のスクリーニングでは、多くの実験で中程度の阻害効果をもたらした22.5mM塩化コリンを用いて開始した。現在までに、40〜110∝mol m^<-2>s^<-1>の白色光下で4,200個のM2種子(約2,000個のM1親由来)をスクリーニングし12個のコリン耐性株の候補を、70∝mol m^<-2>s^<-1>の白色光下で1,200個(100ライン)のT-DNAタグ種子をスクリーニングし23個のコリン耐性株の候補を単離している。 3.Col株の種子を0〜1.5mMのHemicholinium-3を含む培地上で23℃、10日間生育させ、個体の形状を比較した。個体のロゼッタ径は、無添加培地で10〜13mmであったが、添加培地では0.03mMで10〜14mm、0.15mMで10〜13mmとコントロールとほぼ同程度の値を示した。しかし、0.3mMではロゼッタ径が8mm以下に小型化し、0.6mMでは4mm以下とさらに小さくなった。主根の長さは、コントロールで28±2.3mm、0.03mMで27±3.7mm、0.15mMで27±0.6mmといずれもほぼ同じ値を示したのに対し、0.3mMでは21±2.3mm、0.6mMでは8±0.3mmに減少した。さらに高い濃度では、根の形成と本葉の形成がほとんど阻害された。
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