研究概要 |
本研究では,植物ホルモン・細胞核・プラスチド核様体をめぐるコミュニケーションを解析する実験をおこない,以下の結果を得た。 1。エンドウのプラスチド核様体構成タンパク質は,植物の発達にともなって著しく変化した。特に,若いプラスチド核様体には高分子量のタンパク質が多く,成熟葉緑体の核様体には低分子量のタンパク質が多いことが特徴である。 2。プラスチド核様体から0.5M以上のNaCl処理により遊離する70kDaタンパク質を単離した。この70kDaタンパク質は,エチオプラスト核様体の主成分であり,発達中の葉緑体にも存在するが,成熟葉緑体には少ないことがわかった。 3。核様体に対する抗体を用いた発現スクリーニングを行い,いくつかの新規cDNAクローンを得た。 4。核様体タンパク質PD1のレベルをサイトカイニンが抑制することを確認した。 5。核様体抗体によるスクリーニングの過程で,RNA結合タンパク質cDNAを得た。これは,RRMドメインを1個だけもち,グリシンに富むC末端配列をもつという点で,従来我々が研究してきたシアノバクテリアの「ストレス誘導性RNA結合タンパク質」のホモローグであった。 6。プラスチドゲノムの進化についてコンピュータを用いた解析を行い,紅藻類ではリボソームタンパク質遺伝子群に転位があることを発見した。この過程で,いくつかのソフトウェアを開発した。
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