研究概要 |
ショウジョウバエの肢形成過程で、主としてホメオボックス遺伝子BarH1,BarH2の上流及び下流で関与すると思われる遺伝子を探索した。より一般的で部位特異的変異にも応用可能な手法としてflippase組み換えを利用した新親手法を開発しながら、エンハンサートラップやBar変異に対するsuppressor変異の探索等既存の手法も利用した。現在までに、20近い遺伝子座を同定した。これらの中には、別の機能を指標として見出され、既にクローン化されていたものも半数近くあった。新規遺伝子は、遺伝子座近傍に落ちたP因子挿入体を集め、可能なものからクローニングを始めている。特にclawlessに注目している。clawlessは、その名称からも分かるように、その変異株では、claw(爪)を持つ肢の最先端分節pretarsusが消失する。pretarsusは、BarH1,BarH2の発現領域tarsal segment5の内側に接しておりclawless変異によりBarH1/BarH2発現領域は、内側全体に拡大し、円環が円盤に変わる。tarsal segment5とpretarsusの境界は、前者に特異的なBarホメオボックス遺伝子と後者に特異的な未知の遺伝子間の相互抑制により決められていると考えられるので、clawlessの解析は基本的である。既知遺伝子としては、Distalless(Dll),dachshund(dac),dARNTの様な転写制御因子をコードする遺伝子、fourjointed(fj),fringeのような分泌タンパク質をコードする遺伝子、膜タンパクをコードするNotch(N),Delta(Dl),Serrate(Ser)、カドヘリン様細胞接着因子をコードするdachsousが見出された。
|